新年のご挨拶

著作権管理の透明性に向けて

会長 桑波田 景信
一般社団法人 日本音楽出版社協会
会長 桑波田 景信

 あけましておめでとうございます。
 昨年6月の定時総会において再任いただき、会長として2期目を迎えました。
 
 新執行部として音楽出版ビジネスの喫緊の課題に対応していくために、新たに「海外徴収委員会」と「フィンガープリントタスクフォース」を立ち上げました。
 この2つの組織は、時代の流れに則した著作権管理をするために、音楽出版社がどのようなサポートができるか研究することを目的としており、テーマは異なっていますが表裏一体の関係にあります。

 アニソンのイベントが海外で大好評を博しているのをはじめ、アーティストの海外進出の活発化とともに、日本の楽曲が海外で使用される機会が増えてきています。
 コンサートや放送での使用はもちろんのこと、例えば、日本の楽曲が現地語でカバーされて使用されたような場合に、はたして正しく徴収されているかというと、甚だ疑問があります。
 正確な徴収を行うためには、どこでどの楽曲が使用されたかを把握する必要がありますので、音楽出版社としてもその情報を収集し、現地の著作権管理団体に提供することが大切です。相互管理契約を結んでいる団体からはJASRACへ使用料が送金されて作家に分配されるわけですが、その大もとの楽曲利用情報を現地徴収団体にリマインドするトラッキングという作業は、音楽出版社が日常的に行っていることで、その作業を外国からの徴収にも応用しうるのです。

 また、昨年2月にJASRACのストリーミングサービス等の改訂使用料規定の運用が施行され、主要な事業者のサービスがほぼ出そろうなど、日本でも欧米に続いてフィジカルからストリーミングへのシフトが緩やかではありますが、始まっています。
 放送やネット上で音楽が使用された場合には、楽曲を同定する技術がないと使用実態の把握ができませんので、フィンガープリント技術が不可欠なわけですが、世界各国のどこの技術と組むことが日本の音楽出版社にとってベストなのかを検証していく必要があります。
 デジタルでの楽曲使用が益々増える世界の現状において、例えばYouTubeでの楽曲使用をContent IDを使って徴収分配している欧米では、そのContent IDがそもそも正しく機能しているかを、別の技術で確認する試みを始める団体や音楽出版社も出てきています。
 MPAとして、そのような世界の流れをフォローアップして関係団体とも連携を図りながら、作詞家・作曲家の方々に正しく使用料が分配されるような環境の整備に向けて、より透明性のある管理体制が整うように働きかけて参る所存です。

 MPAは、今年もアクティブに活動してまいりますので、ご支援ご協力のほど、よろしくお願いいたします。