新年のご挨拶

新全曲報告システムの本格稼働に向けて

会長 桑波田 景信
一般社団法人 日本音楽出版社協会
会長 桑波田 景信

 新年明けましておめでとうございます。
 
 昨年、渡邊美佐名誉顧問が6月にICMP(国際音楽出版社連合)から「Ralph Peer II賞」、9月には文化庁から「創立50周年記念表彰」を受賞いたしました。また、12月30日にはTPP11が発効、著作権存続期間が50年から70年に延長されるなど、MPAにとって喜ばしいことが重なりました。日頃からご支援いただいております会員の皆様をはじめ関係各位に改めて御礼申し上げます。

 さて、MPAでは、3年前に著作権使用料の徴収分配の精度向上および透明性のアップを目的として「フィンガープリントタスクフォース」を立ち上げ、一昨年からは関係団体であるRIAJ、JASRAC、FMPJと共にイギリス・サウンドマウス社の持つフィンガープリント技術を使用しての海外放送局での邦楽使用状況把握と国内放送使用全曲報告の精度向上に向け取り組みを続けて参りました。
 サウンドマウス社は、世界3600万曲のフィンガープリントを保有しておりイギリス、アメリカではデファクトスタンダードとして放送の全曲使用報告を行っています。日本でもこの潮流に乗り遅れないように導入に向けて準備してまいりましたが、このたび、技術面での整合性をクリアーする等の作業を経て、本年中には国内での放送事業者がこのシステムによる使用報告ができそうな段階にまで来ています。
 今後もフィンガープリント技術に関する適正な競争原理が働くための環境構築や楽曲のメタデータの整備等、検討すべき課題は多々ございますが、コンテンツ流通の利便性と関係権利者の保護を両立させ得る未来への布石、という一面もあるこの取り組みを契機として、放送に止まらない様々な使用形態に対応出来る技術の導入を関係諸団体と共に目指して参ります。

 楽曲が使用される形態は益々多様化しています。当協会は、技術の進歩をキャッチアップしつつ、音楽出版社の本義である「作家を守る」ための取り組みに邁進して参りますので、ご協力の程宜しくお願い申し上げます。

(2019年1月1日)