法改正へ、著作権保護期間の延長、私的録音補償金制度の見直しを

会長 朝妻 一郎
社団法人音楽出版社協会
会長 朝妻 一郎

あけましておめでとうございます。
渡邊美佐前会長が名誉会長に就任した後を受けスタートして、早くも半年を経過しました。新しい年を迎え、気持ちを新たにもてる力をすべて集め、音楽出版ビジネスの発展に寄与できるよう努めてまいりたいと考えております。
MPAは、放送二次使用料などの分配、音楽著作権管理者養成講座を中心にした啓蒙普及活動、MIDEMへのジャパン・スタンド出展を核とした海外との交流の三事業を基本に活動してまいりました。
これらの活動と連携し、また基盤として、今年はまず著作権法改正を目指した運動を展開してまいりたいと考えております。
著作権保護期間の延長は、これ以上の遅滞は許されない状況に来ております。ほとんどの先進国で保護されている芸術作品を無許諾で使用している日本の現状は、国際的非難の対象となりつつあります。一刻も早い法改正を目指し、率先して運動に邁進することは、著作権者の団体であるMPAの責務であると考えます。合わせて著作隣接権の延長を行い、保護の実効性を高めたいと思います。
また、私的録音補償金制度についても、制度の形骸化が進んでいることは広く認識されているところです。私的複製の主な手段となっているパソコンを用いたコピーが対象から漏れている以上、制度の抜本的見直しを実現させなければなりません。
さらに、いよいよ本格化する音楽配信について、著作権者としてはもちろん原盤制作者としての権利主張を積極的に行っていく必要があります。
今年も多くの課題を抱えての年の始めとなりますが、これまでの歴史を見ても、新しい技術やメディアの登場は、混乱の後により大きな果実をもたらしてきました。デジタル化ネットワーク化がマイナスからプラスに転じる年になるよう、いっそう努力してまいりたいと思います。