音楽出版社の現在の「かたち」
音楽がさまざまな場で使われるようになるとともに、新しい楽曲作りも色々な形態を持つようになりました。現在でも、多くの場合、新しい楽曲はレコード化を目的に作られますが、放送番組や、映画、ゲーム、TVコマーシャルなどのために作られることも少なくありません。
こうして、多岐にわたる目的で作られた楽曲を管理、開発するために、幅広い背景を持つ音楽出版社が設立されるようになりました。音楽出版社が誕生した当初は、文字どおり楽譜出版社でしたが、その後、レコード会社、映画会社、放送局等、音楽を利用することの多い産業から著作権ビジネスに参入する例が増えてきました。
また、作詞・作曲家や歌手(あるいは所属するプロダクション)が音楽出版社を持つこともあります。MPA会員を見ても、この他、有線放送、ゲームソフト、劇団、カラオケ、広告代理店、書籍出版社等が、音楽出版ビジネスに参入してきています。
拡大し続ける著作権ビジネス
現在の音楽出版社は、その多彩な背景を利用して、楽曲の著作権を獲得し、プロモーションを行い、次々に登場してくる新しいメディアや音楽の利用形態に対応しつつ、著作権ビジネスを拡大しています。
この結果、日本の音楽著作権ビジネスは一貫して拡大成長を続けてきました。この10年を見ても、約1.5倍に伸びたJASRACの分配額にそのことは端的に現れています。
使用料のうち最大のシェアを占めているレコードの生産額は、ここ数年大幅な減少を記録していますが、分配額は1,000億円を超え続けています。それは音楽出版社によって、音楽の新しい利用方法やメディアが開発され、新しい音楽が生み出されるとともに、かつてのヒット曲にも改めて注目が集まっているからです。
また、今後、著作権制度の整備が進む東アジアを中心に、海外市場の広がりも予想されます。
インフォメーション・テクノロジーの発展とともに、音楽の利用はますます拡大していきます。音楽出版社は今後も、内外の著作権保護推進に努め、音楽ビジネスの発展に大きな役割を果たすことが期待されています。