音楽出版社の歴史


音楽出版社について

音楽出版社について
MPAの事業をご理解いただくためには、音楽出版社の業界内における役割、そしてその仕事の内容をご説明する必要があるでしょう。音楽出版社の仕事を大別すると、著作権の管理と開発、ということになります。また、音楽出版社の多くは、原盤制作も行っており、音楽出版社の業務は、これら三本の柱からなるということもできます。

音楽出版社の歴史(音楽出版社とは)

音楽出版社の歴史は16世紀までさかのぼることができます。ヨーロッパで初めて楽譜が出版されたのが、1501年。イギリスでは、1550年頃すでに音楽出版の元となる会社が設立されています。18世紀(モーツァルトらが活躍していた時代)、新作の交響曲や協奏曲は、パトロンの城やコンサート・ホールで初演されていました。そして、そこに招かれた貴族や音楽監督が気に入った曲を自分のレパートリーに加えていたのです。そのため、作曲家から楽譜を預かり、一回貸出すごとに使用料を徴収するという新しい仕事が生まれました。この貸楽譜ビジネスが当時の最大のメディアである印刷物と結び付き、楽譜は広く販売(出版)されるようになり、楽譜の出版社として「ミュージック・パブリッシャー」という呼び方が定着していったのです。

現在の音楽は、レコード化され、放送、映画などにも使用され、音楽著作権という権利は持っていても、自ら楽譜を出版する音楽出版社は少数派になっています。しかし、数世紀にわたって楽譜(出版物)によるビジネスとして成立してきた長い歴史があるため、今でも「ミュージック・パブリッシャー」という呼び方が残っているのです。1960年前後に、日本に誕生した音楽出版社はその和訳なのです。

音楽出版社がミュージック・ビジネスの中心的存在として活躍しているアメリカでも、音楽出版社というと楽譜出版が仕事のように受け取られてしまうことが多いそうです。日本では音楽出版社が著作権者であることすら余り知られていません。著作権は工業所有権などと共に知的所有権の代表的なものです。音楽出版社は、著作者(作詩者、作曲者)と楽曲ごとに著作権譲渡契約を結び、著作権者となります。そして、著作権者として、著作権を管理、開発し、著作者と著作権使用料収入を分け合います。