新年のご挨拶

創造のサイクルを回復するために


日本音楽出版社協会
会長 稲葉 豊

 あけまして、おめでとうございます。 
 今年こそは、コロナ禍の影響を最小限にとどめて、活気のある音楽業界になることを祈念しています。
 
 さて、著作権使用料の分配額だけを捉えると、コロナによる音楽出版ビジネスへの影響は少ないように見受けられます。しかしながら、ライブの開催が制限されたことにより、リスナーと一緒に盛り上がって、次の楽曲を創作するパワーを蓄えていく、という創造のサイクルが崩壊してしまいました。一日でも早く、作家、アーティストがすばらしい環境で創作活動ができるように、回復させていく必要があります。
 そのために、新設した「音楽団体連携タスクフォ-ス」を中心として、JAME、FMPJ、ACPCの各団体と一緒に、コロナ禍におけるライブの活動のあり方を検討、ライブに携わっている方々の支援を含めたロビー活動を行ってきました。
 並行して、4団体の会員社を対象としたワクチンの職域接種を実施、MPA会員1,700名、4団体合計で9,000名に接種機会を提供することができました。
 
 MPA内部の動きとしましては、まず、「デジタル徴収タスクフォース」において、定期的にJASRAC、NexToneとのミーティングを開始いたしました。複雑な徴収と分配の構造を正確に把握して、時代の流れに即した著作権管理が行われるように提案してまいります。
 また、「著作権管理効率化タスクフォース」においては、会員社における日常の著作権管理業務の効率化を加速させるべく、「著作権契約、共同出版契約の電子化」、「著作権管理事業者との業務改善」を中心とした検討を行っています。加えて、来年導入予定のインボイス制度への対応につきましても、早めに会員の皆様に情報提供できるように準備してまいります。
 「フィンガープリントタスクフォース」で、音楽関係5団体(JASRAC、RIAJ、FMPJ、NexTone、MPA)で実施していた実証実験プロジェクトが終了、今後はRIAJのイニシアチブの下、MINCにおいて実効的な体制で進めていく準備が出来ました。正確な徴収・分配を行うためには、配信限定の音源を含め楽曲の使用実績をきちんと把握するとともに、メタデータ(権利情報)の整備が不可欠ですので、関係団体の皆様と協力して、権利者データベースの一元化を推進してまいります。
 
 コロナ禍で通常のオペレーションの変更を余儀なくされている状況ではありますが、会員の皆様のご協力をいただき、MPAとしての活動は順調に進んでおります。
 日頃からご支援いただいております会員の皆様をはじめ、関係各位に改めて御礼申し上げます。
 

(2022年1月1日)