年頭にあたって

ますます楽しめそうな状況になって来た

会長 桑波田 景信
一般社団法人 日本音楽出版社協会
会長 桑波田 景信

一般紙でも「音楽業界、ハイレゾに期待」といった見出しをみかける昨今、会長就任の際に「デジタルの時代を楽しもう」と、このWEBで申し上げましたが、ますます楽しめそうな状況になって来ています。昨年末にDSD11.2で録音した音源を聴く機会がありましたが、それはそれは素晴らしいもので、これからの可能性を想像して晴れやかな気持ちになれた程です。機会があれば皆さんも是非体験してみてください。一方、そういった高音質化には、再生機器の容量が今以上に必要になってくるという問題に対しては、別の角度から新たな提案があるようで、いずれにしても選択肢が広がるのは望ましいことです。
昨年末の忘年パーティーでお話したように、欧米では音楽出版社自身がデジタル技術を駆使して楽曲管理を始めています。音楽出版社はもともと紙で記録をして管理していましたが、ただ紙がコンピューターに置き換わっただけとは根本的に異なる新たなサービスを伴う楽曲管理の波が、今はさざ波かもしれませんが確実に広がりつつあります。自らが技術開発はできなくても、この流れをフォローするためには日常生活でデジタルツールを使っている事が大切です。
知らないアーティスト名が出たら先ずはYouTube等の動画サイトで調べますよね。たとえば、外出先でふと耳にした曲が気になったら、すぐにShazamのアプリを起動してスマホのマイクでその曲をひろって検索。気に入ったらiTunesのサイトに飛んで購入してみる。また、音楽に限らず映像でも、たとえば自宅に設置してあるブルーレイレコーダーで予約録画した番組を出張先でネットを経由してスマホの画面でチェックする・・等々そういったことが出来るようになるプロセスを経験することで、デジタルと共生していく“感覚”を養っていけるのではないか、またそういったことがこれからの音楽出版社像の議論にリアリティーを付与するのではと思っています。
デジタル技術の発展に伴って、音楽出版ビジネスも新たな対応を迫られている環境ですが、デジタルの恩恵を先に実感することで痛みを相殺できるように感じます。デジタルを楽しみましょう。さすれば、変革に意欲を持って取り組めるにちがいありません。