国際化と関係強化を活動指針に—会長就任にあたって—
社団法人音楽出版社協会
会長 谷口 元
このたび会長に就任致しました谷口元です。これまで会長を務めてこられた方々に比べれば、明らかに経験もなく未熟ですが、会員のみなさまのお力添えをいただきながら責務を全うできるよう努めてまいりたいと考えております。
ご承知のように、音楽出版をはじめ私どものビジネスは多くの喫緊の課題を抱えています。著作権存続期間の延長、私的録音録画補償金制度の維持強化、ネット上での著作権侵害行為の撲滅、海外市場の開拓、そして当協会の一般社団法人移行などです。
これらの課題に対処するために、私は次の二つを活動指針としたいと考えています。
第一は、我が国音楽業界の国際化です。世界のクリエーターが集まってくるような環境づくりをしていきたいと思います。そのためには例えば違法対策を進め、また、著作権存続期間の国際水準への延長が行われなければなりません。Sync Music Japanを推進するとともに、MIDEMやMusic Mattersなど活動の場を広げ、ICMP(国際音楽出版社連合)の主要メンバーとして、また継続的に会談を行ってきたアメリカ、韓国の音楽出版社協会との連携を強化して、国際化を進めてまいります。これらは、政府の推進する知財立国の政策とも合致するものです。
第二に、関係各団体との関係強化です。私たちが抱える課題を解決に導くには、関係団体との連携、協力が不可欠です。音楽関係の各団体はもちろん各政府機関あるいは国会とも関係を強化していかなければなりません。最近は、著作権保護というと守旧団体が既得権益を守ろうとしていると曲解されるきらいがありますが、創造性を支える必須の柱であることを理解してもらう必要があります。
これらに加え、協会運営にあたっては、①三役会の位置づけ、理事会への報告、決定プロセスを明らかにするなど運営の透明性確保、②一般社団法人への移行、協会名の変更という機会を迎えることもあり、ヴィジュアル・アイデンティティを重視した積極的な広報活動、③委員会の活性化、事務局の強化、の三点を重視してまいります。
以上、2年間の任期中にできることは限られてくるとは思いますが、力を尽くしてまいりたいと思います。よろしくご協力をお願い申し上げます。