テクノロジーの進歩がプラスに働くときは近い
社団法人音楽出版社協会
会長 朝妻 一郎
あけましておめでとうございます。
ここ数年、MPAは、著作権法改正(著作権等保護期間延長、私的録音補償金制度見直しなど)、原盤制作者の権利擁護、二次使用料等分配事業の効率化、アジア地域における著作権保護促進などをテーマに活動してまいりました。特に分配事業においては、2年越しの準備が実を結び、昨年10月から新システムを稼動させましたが、幸い会員のみなさまには好評をもって迎えられているようです。
これらの問題については、継続して対処していく必要があり、今後もさらに一層力をいれてまいります。
また、拡大、深化を続けるデジタル&ネットワーク・テクノロジーがわれわれの身のまわりにさまざまな影響を与えるようになっていますが、CD市場の停滞に端的に現れているように、これまでわれわれにはネガティブな面からの被害のみが多く見受けられました。
しかし、本来、技術の進歩は、使用者、権利者双方にプラスに作用する環境を作り出すことも可能にするはずです。たとえば、よりシンプルで簡便でしかも安定したセキュリティを保証されたサービスや、ありとあらゆるネット上の著作物使用の捕捉といったことが実現できることが考えられます。
そろそろこうした技術の進歩がわれわれにとってプラスに働くときが近づいているのではないでしょうか。
われわれはいま、夜明けの直前にいるのだと信じています。
その中で音楽出版ビジネスはどう展開していくのか。音楽の力、音楽の価値を信じて、音楽からすべてが始まる音楽出版社のあるべき姿を認識するところから、新しい年をはじめたいと思います。