透明性のある使用料の徴収・分配を目指して
一般社団法人 日本音楽出版社協会
会長 桑波田 景信
新年あけましておめでとうございます。
さて、2016年から活動をはじめた「フィンガープリントタスクフォース」における研究調査結果を踏まえ、RIAJ・FMPJ・JASRACと共同で「海外フィンガープリント技術による海外放送の邦楽曲使用報告および国内放送楽曲使用報告の更なる精度向上のための実証プロジェクト」を開始しました。
これはロンドンに本拠を置くサウンドマウス社のフィンガープリント技術を使用して、音源を同定することにより音楽の使用実態を的確に把握し、透明性のある使用料の徴収・分配を目指すものです。これにより、アニソンを中心に人気の邦楽曲の海外放送局での使用状況を検証することで、海外での著作権使用料の適正な徴収分配を促し、作家・関係権利者に正しく還元することが近年可能となります。
一方、国内においては、フィンガープリント技術の活用により、放送局等の使用実績報告の精度向上及び業務の簡素化ができますので、権利者だけでなく使用者にも多くのメリットがあるとともに、フィンガープリント技術市場に適切な競争原理が働くことが期待できます。
欧米ではフィンガープリント技術を、YouTubeからの徴収を増やすことを目的とした独自調査に活用するなど、音楽出版社特有のトラッキングに使用する会社も出てきています。MPAでは、そういったテクノロジーの進歩を遅滞なくフォローしながら日本の音楽市場での活用に向けた取り組みを継続しております。
また、昨年一昨年と海外のアニソンイベントに足を運ぶ機会があり、会場に集まったファンがオリジナルの日本語で大合唱する光景に感銘を受けましたが、こういった例を引くまでもなく邦楽曲は海外に急速に根を下ろしつつあります。MPAでは増加している海外でのコンサート等からの演奏権使用料の適切な徴収分配を促すなど、音楽出版社としてアーティストの海外進出を側面からサポートして参ります。
音楽ビジネス発展のため、今年もアクティブに活動してまいりますので、ご支援ご協力のほど、よろしくお願いいたします。