Web上の楽曲使用把握に向けて
一般社団法人 日本音楽出版社協会
会長 桑波田 景信
新年明けましておめでとうございます。
MPAは、著作権使用料の徴収分配の精度向上及び透明性のアップを目的として「フィンガープリントタスクフォース」を2016年に立ち上げました。2017年からは関係団体であるRIAJ、JASRAC、FMPJと、昨年からはNexToneも加わった5団体で、フィンガープリント技術を使用した海外放送局での邦楽使用状況把握および国内放送使用全曲報告の精度向上と局数の拡大に向けた取り組みを続けてまいりましたが、おかげさまで本年中に新システムでの本格稼働がスタートできる段階に達することが出来ました。本年4月以降には、海外のフィンガープリント技術を使用した初めての楽曲報告ができるように最後の調整をしている状況で、放送関係者も今後、どのような展開になるのかを注視しています。そこからが本当のスタートラインに立つことになるでしょうが、良い結果が出るように努力し、次につながることを期待しています。
一方で、世の中の動きは大変に早く、放送のWebでの再送信を含め、放送と通信のシームレス化は加速しています。通信、Web上での音楽使用も増えていますが、それを捕捉するための技術が必要となります。フィンガープリント技術は、SNS上での楽曲使用把握にも有効なツールですが、そのためには楽曲の権利者がフィンガープリント会社各社に対して、精度の高い登録をする必要があります。作家、レーベル、音楽出版社がダブルチェック、トリプルチェック協力して、音源ごとにメタデータをつけた上で、フィンガープリント会社に対してフィンガープリント生成のための情報を適格に供給できるのかがこれからのポイントになってきます。
これまでにご協力いただいている各団体の皆様と継続して作家に向けて衆知を図り、楽曲の使用形態の多様性をキャッチアップしながら、「作家を守る」ための取り組みに邁進して参ります。
最後になりますが、昨年は、渡邊美佐名誉顧問が11月に文化功労者に選出、3月には朝妻一郎顧問が平成30年度文化庁長官表彰、12月には私が令和元年度文化庁長官表彰を受けました。日頃からご支援いただいております会員の皆様をはじめ関係各位に改めて御礼申し上げます。