ICMPニュース vol.4 (2012年6月15日更新)

Song Summit 2012で、ICMPとAMPALが「Publishing Summit」を開催

5月26日(土)から28日(月)に、APRA(豪演奏権団体)とAMCOS(豪録音権団体)共同で、ソング・サミットをシドニーで開催した。インターナショナルおよびローカルアーティストによるライブ公演のほか、ワークショップ、会議、ネットワーキングのためのイベントが行われた。
26日には、プログラムの一部として、ICMP とAMPAL(豪音楽出版社協会)によるパブリッシング・サミットが開催され、二つのパネル「GRD*への道のり」および「アジアの音楽出版-機会と危機」は、ともに満席であった。パネリストは、アンドリュー・ジェンキンスICMP会長、谷口 元 MPAJ会長、ステファン・ナヴィンMPA UKチーフ・エグゼクティブ、ジャー・ハットンICMP事務総長、 ロナルド・シウMPAアジア理事等。GRDについては、APRAがGRD推進団体であり、特に重きを置いていた。(*GRD=Global Repertoire Database(グローバル・レパートリー・データベース):楽曲の権利者や管理情報の世界共通データベース)
27日は、ICMP とAMPALは、アジア・パシフィックの音楽出版社の結成大会が開かれ、AMPALのキャサリン・ジェラルド氏と、アンドリュー・ジェンキンス ICMP会長を議長に、アジア・パシフィック地域の観点から様々なトピックスについて議論された。引き続き、フォローアップしていく必要がある。また、MIPI(音楽業界著作権侵害調査団体)のヴァネッサ・ハトレー氏による、MIPI著作権侵害対策のプレゼンテーションも行われた。
28日は、2012年APRAミュージック・アワードが開催された。 Gotye(ゴティエ、本名ウーテル・デ・バッカー氏)が3つの賞を獲得し、「Somebody That I Used To Know」は、ソング・オブ・ザ・イヤーに。

中国国家版権局、著作権法改正案見直しへ

中国国家版権局は、5月18日、物議をかもしている著作権法改正案について見直しを図ることを発表した。この改正案について、中国アーティストや、ICMPとアジアのICMPメンバー団体を含む国際著作権団体が抗議をしており、国家版権局は3月31日に発表してから、81個の条項の改正案について1560のフィードバックを受け取っている。

インド著作権法改正案、連邦議会を通過

5月22日、インド著作権法改正案は、連邦議会下院を通過した。5月17日には上院を通過していたこの案は、映画音楽が利用された場合、作曲家と作詞家が著作権使用料を受け取れるようにするもの。ラジオ・テレビ局への法定許諾、全てのユーザーへの著作権団体を通しての強制許諾を含む。この案によって、放送局は、作品が放送される度に、著作権者へ使用料を支払うことが必須となる。さらに、音楽・文学・劇作品のオリジナル作品が録音された日から5年間は、カバーバージョンの制作を禁止する。
これに対し、アンドリュー・ジェンキンスICMP会長は、「インド連邦議会で、この法案通過へ導く重要な役割を担ったインドの詩人、ジャーベド・アクタル氏に賛辞を呈した。また、ICMPメンバーであるDeep Emotions(音楽出版社)のAchille Forler氏が、法案を順調に進めることに努めたことを評価した。

ロシア、ソーシャルネットワークサイト敗訴

ロシアのソーシャルネットワークサイト「Vkontakte」は、ファイル共有活動が著作権法違反とする裁定に対し控訴していたが敗訴した。Vkontakteは、facebookと見た目が似ていることから、ロシアのfacebookと言われている。

オランダの高等裁判官、欧州司法裁判所へ私的録音録画補償金制度に関する提案

オランダの高等裁判官は、欧州司法裁判所へ私的録音録画補償金制度の特定の質問を提案している。高等裁判所が同意すれば、欧州司法裁判所は、私的録音録画補償金制度を扱っているオランダ著作権法が、欧州著作権指令とベルヌ条約の3ステップテストに遵守しているかどうかが問われることとなる。

UK Music、研究報告発表

5月16日、英国の音楽業界を代表する団体であるUK Musicは、スマートフォン、タブレット端末、MP3プレーヤー等のデバイスで再生されているCDからリッピングされた楽曲の金銭価値を分析した研究報告を発表した。この研究は、予定されている著作権法改正への裏付けとして、英国政府の依頼によって作成された。
この調査は、最高品質のMP3プレーヤーでは、CDからコピーされた楽曲が再生された価値は、そのデバイス購入額の32%に相当すると主張。また、スマートフォンでは、4.13%、タブレット端末では、6.7%であるとした。
UK Musicは、英国政府に、このデータを組み入れることで、著作権法枠組みが変わることによる、正確な経済的影響が打ち立てられると言及した。