ICMPニュース vol.3 (2012年5月29日更新)

米国通商代表部「スペシャル301条報告書」公表、 David Israelite NMPA理事長兼CEOコメント

4月30日、米国通商代表部は、「2012年スペシャル301条報告書」を公表した。知的財産権の現状と世界中の貿易パートナー国への励行詳細が書かれたこの報告書発表に、NMPA(全米音楽出版社協会)のDavid Israelite理事長兼CEOは、次のようにコメントした。「作家と音楽出版社は国内で重要な経済的役割を果たしている一方で、他のクリエイティブ・コミュニティとともに、世界経済へも大きな影響を与えています。今日の「スペシャル301条報告書」の発表は、このコミュニティの価値、そして、行政が、著作権に関する職業と輸出の保護へプライオリティをおいていることを示しています。」

欧州委員会、 視聴覚メディアサービス指令の適用について報告を発表

5月7日、欧州委員会は、視聴覚メディアサービス指令適用の報告を発表した。
現在、委員会は、現行の視聴覚メディア指令の見直しを図っており、今回の報告はその一環。母国法主義の自由流通と表現の自由原則の相互関係が、委員会の焦点の一つ。委員会は、テクノロジーの発展により、放送と視聴覚コンテンツのデリバリーの境界は曖昧になっており、結果、現指令による枠組みについて再度見直す必要がある、という。次のステップとしては、2012年後半に、コネクティッドTV(ネットに接続可能なテレビ)の意見交換をスタートし、2013年には、テレビ放映広告のガイダンスをアップデートする予定。

UK 高等裁判所 インターネットサービスプロバイダー(ISP)へ、ファイル共有サイト「パイレート・ベイ(The Pirate Bay)」へのアクセス遮断を指令

4月30日、英国高等裁判所は、ISP6社へ、著作権侵害をはたらいているファイル共有サイト「パイレート・ベイ(The Pirate Bay)」へのアクセスを遮断するよう判決を下した。
この訴訟の原告は、レコード会社で、PRS(著作権管理団体)、映画協会、出版社協会等が支持。原告は、英国主要インターネットサービスプロバイダー6社に、顧客からパイレート・ベイへのアクセスを遮断、少なくとも、妨害する方策をとるよう要求していた。
その訴えは、「EU2011著作権指令」で施行されている著作権法第97条のAに基づく。Arnold 裁判官は、以下の3つの条件が被告(ISP)に該当するとした。1.被告がISPである 2.パイレート・ベイのユーザーと運営者は、著作権侵害に被告のサービスを使用 3.被告はこの事実を実際に認識している この最後の条件は、原告が度々、侵害の通知を被告へ送った事実から、原告により証明された。
裁判官は、上記の観点から、原告の請求を認め、原告の請求は、EU指令に定められた著作権侵害に見合うとした。

GEMA、 YouTubeのポリシーを批判

GEMA(ドイツの著作権管理団体)は、GEMAがコンテンツをブロックしている事実をユーザーへ伝えるというYouTubeの方針に対し、それはYouTubeユーザー間でのGEMAの評判を傷つける意図的な企てであると発表。また、ドイツ裁判所は、YouTubeは、著作権侵害コンテンツがサイトにアップされることを防ぐ対策が十分ではないとしている。

シンガポール、アジアの知財ハブ国に

シンガポール政府は、知的財産市場とそのインフラを向上させ、アジアの知的財産のハブとなる構想を発表した。法務省は、その計画を形成する知的財産運営委員会を発足。委員会は、次の2つのエリアに焦点をあてる。

  1. 知的財産取引と商業化のための活発な市場の発展
  2. 世界レベルの知的財産の能力とインフラ