ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)2024年10月31日付

2024年10月31日付

ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)

香港

 新ランドマーク「啓徳(カイタック)スポーツパーク」が完成

 旧空港跡地に建設された「啓徳(カイタック)スポーツパーク」が2024年10月末に完成し、一部の会場では小規模なスポーツ大会やエンターテインメント公演でソフトオープンが行われています。この複合施設には、観客数1,000人から5万人規模のスポーツや文化、エンターテインメントイベントを開催できるさまざまな会場が含まれています。また、ショッピングモール、飲食店、ハーバープロムナード、オープンスペースもあり、さまざまなレジャーやエンターテインメントを提供しています。
 
 メインの啓徳スタジアムは、観客5万人を収容できる施設で、南側には港を望むガラスカーテンが設置され、全天候に対応する開閉式の屋根を備えています。2025年4月初旬には、コールドプレイが「Music Of The Spheres World Tour」の一環でこのスタジアムで最初の国際公演を行うことが発表されました。チケットは数分で完売しました。この新しい複合施設により、2025年以降、地元や国際的なパフォーマーによる公演がより多く行われることが期待されています。過去には会場の収容人数や利用可能性の問題で、一部のコンサートがマカオに移されたり、香港がスキップされたりすることがありました。このパークとスタジアムの開業により、今後の公演収入の増加が見込まれます。
 

中国

 国際著作権フォーラムが杭州で開催される

 2024年の国際著作権フォーラムが10月中旬に杭州で開催されました。杭州がフォーラムの開催地に選ばれたのは、近年、さまざまなビジネス分野における新技術開発に注力している都市であるためです。フォーラムのテーマは「知的財産権のバランスの取れた保護と革新的な発展」でした。著作権保護の側面と、著作権素材を利用するユーザー側の双方から意見が出されています。ライセンス管理と流通経路の整備が求められる一方で、権利行使の乱用を避けるべきだという点も注目されています。既存および新興市場に対応するために、多国間の著作権保護と管理システムの推進が奨励されることが議論されました。
 

マカオ

 粤港澳大湾区ソングライティングコンテストと著作権管理に関する円卓会議の開催

 前号で述べたように、第2回粤港澳大湾区のソングライティングコンテストが完了し、その後、MCSC(中国)、MACA(マカオ)、CASH(香港)の3団体による著作権管理に関する円卓会議が開催されました。この会議には、3地域の知的財産部門および文化発展オフィスの責任者も参加しました。参加者には、商業分野の幹部、音楽利用者、ミュージシャン、法律関係者、専門的な学者、教育機関の代表者などが含まれています。
 
 会議の目的は、音楽利用のライセンスを円滑にするための著作権管理の重要性を強調し、著作権者が持つ作品の著作権管理を保護・強化することにあります。特にデジタル分野の新しい技術を活用したメディアにおいて、この管理が重要視されています。さらに、粤港澳大湾区のさまざまなビジネスセクターの成長により、公演ライセンスも恩恵を受けることが期待されています。そのため、3団体はこの機会を活かし、地域を超えたビジネス発展に対応するために連携しています。
 

タイ

 海外楽曲の著作権クリアリングの難しさとコストの問題で使用が減少

 最近、地元の多くのテレビ視聴者がフォーラムで、一部の有名な地元のタレントショーでなぜ国際的な楽曲が使用されないのかについて議論が持ち上がっています。また、ビジネスや視聴者の間でも、国際的な楽曲の著作権クリアリングの難しさが話題になっています。ライセンスを取得するのに時間がかかり、費用も高額で手が届かないため、結果として市場で使用される国際的な楽曲がますます減少しています。かつてテレビ用の包括的な同期ライセンスについて議論されたこともありますが、異なるライセンス方針のために未解決のままとなっています。

ライタープロフィール
j-ho

ジョナサン・ホ
香港を拠点とし、1986年から音楽業界で活躍。1998年Fujipacific Music (S.E.Asia) Ltd.マネージングディレクター。2007年から香港著作権管理協会(CASH)理事、香港音楽出版社協会会長。東南アジア地域の音楽出版社の集まりであるアジア音楽出版社協議会(AMPs)理事長でもある。