ICMPニュース vol.18 (2013年3月15日更新)

WIPO、新視覚障害者用条約を準備中

2月18日から22日まで開催されたWIPO著作権及びその関連諸権利に関する常任委員会(SCCR)特別会議で、6月に予定されている視覚障害者のための例外規定に関する外交会議に向けて、新規条文が公表された。新規条文では、スリーステップテストの解釈についての条項がはずされたが、スリーステップテストそのものについては実施条項の中に残された、最終交渉のためには更に修正の必要があるとの点で参加者は一致している。そのため追加会議が4月18-19日に開催されさらに20日は外交会議準備のための特別会議が開催される。

自由貿易交渉各国の状況

a)
日本、中国、韓国は三国間の自由貿易協定の事前準備会議を2月21日東京で終了、第1回交渉は3月又は4月に予定。
b)
EU貿易担当委員カレル・グックは、カナダ/EU間の自由貿易協定は、最終的に締結するにはさらに交渉が必要と発表。
c)
EUとペルーの自由貿易協定は暫定的に2013年3月1日より適用開始、他方コロンビアとの協定は、協定自体は締結されているが、国内的な批准手続を終了する必要があり、本年後半まで遅れる模様。

全世界の音楽配信10年ぶり上昇

IFPIは2013年音楽配信報告書を発表。それによれば、全世界の録音・音源収入は対前年0.3%上昇。これは10年ぶりの上昇。この理由は音楽配信の伸びと、新興国の市場拡大の効果である。

米国で違法行為減少

a)
違法ファイル共有は2012年に大幅に減少との報告書が米国のNPD社から発表された。P2Pの違法利用は17%マイナス、その他の違法ダウンロードも量的には大幅ダウン、同報告によれば、これら減少は違法サイトの閉鎖と利用可能な合法的配信サービスの拡大によるものとの事。
b)
RIAAは、Googleがサーチ順位のなかで著作権侵害サイトをはずすという新ポリシーの効果についての評価報告を発表した。同報告によれば新ポリシーは今のところ特に顕著な効果を発揮していない。
c)
米国著作権注意喚起システムが2月25日始動した。同システムの目標はインターネット利用者に対して著作権の重要性と違法性を啓蒙することである。悪質な違法行為を繰り返せば、サイトアクセスを奪われるかもしれない。
d)
Howard CobleとJudy Chu両下院議員により、米国下院は創造的仕事に従事する人々の著作権について一般人や議員の認識を深めるために「創造的な業務に従事する人々の権利を考える会」を立ち上げた。

ラジオの同時再放送は放送ではない

オーストラリア裁判所は2月15日、オンラインの同時ラジオ放送は放送ではないと判定した。その結果、オンライン同時放送に対して追加の印税支払いを求める事が可能になった。

違法カラオケ業者を処罰

ニュージーランドでは、非公認のカラオケ楽曲集を販売するカラオケ業者に対し4ヶ月の拘留と補償金支払が命ぜられた。

EC、Google調査終了か

EC競争委員長Joaquin Almuniaによれば、Googleの独占的なビジネスの仕方についてのEC調査は、2013年の下半期には同社の提案を受け入れて終了するかもしれないという。

ドイツで権利者不明作品の使用促進法案

a)
主要野党SDPは、アーティストや創造的業務にたずさわる業界を支援する新政策の必要を訴えた。同党によれば、その焦点は合法的なコンテンツへのアクセスがよりしやすくなり、国民の創造的な作品の価値に対する認識を高めることである。
b)
2月21日、法務省は著作権者不明の作品の利用を促進するための条文案を提示した。同案はまた、科学的作品の作家が作者不明の作品をオンラインで非営利目的で利用を可能にする「オープンソース」項目を含んでいる。
c)
3月1日、国会は著作権改正法を採択した。同法は新聞、雑誌の配信権利を強化する一方、ニュースサイト配信者が無料でそれらの記事の簡単なサマリーを出すことを認めるものである。この法は独法に「補助的著作権」の概念を導入するもので、印刷物の出版社がその配信サイトのコンテンツを他者に利用させることを可能にするものである。

オランダ、業務利用は除外

オランダ地方裁判所は、私的録音録補償金は専門家による業務利用のための媒体(CDやDVD)にまで適用されないと判定した。

ネヴィンMPA会長、オックスフォード大へ

過去5年に亘りICMPの理事をつとめた英国音楽出版社協会会長、Stephen Navin氏は、オックスフォード大学で歴史を教えることになったため6月25日で退任する。