ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia) 2013年2月28日付

2013年2月28日付

ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)

香港

中国本土からの旅行客増加が使用料増に

過去数年、中国本土からの旅行客の激増はファッション、宝石、時計といった香港小売業の激増をもたらしてきている。それは、また、各店舗での楽曲の利用の増加をもたらし、演奏使用料増大につながっている。更に安い香港ドルを利用して、香港で映画やコンサートに行く中国旅行者が多い。例えば中国では映画入場料が13米ドルに対し、香港では7.5米ドルである。映画・コンサートの収入に加え、こういった分野からの上映使用料などの増加をもたらしている。

新TV局の登場が好影響生む

香港の有力TV局であるTVBは、ドラマは勿論、旅行や料理プログラムまでローカル制作への投資を増加している。これは未だ承認を受けてはいないが、承認間近なHKTVの影響と言われている。HKTVは電話会社(CTI)の子会社であるが、多数のスタッフやアーティストをTVBよりリクルートし承認に向けて多数のプログラムを制作している。
更に、CTIはライセンスに関して業界団体や出版社からライセンスをクリアする必要を充分認識しているように見える。これはTVBに各種の影響を与えており、その結果TVBのライセンス更新に対する姿勢は従前より好意的である。

中国語タイトルなしのiTunesの中国語曲

MPAHKはiTunes印税処理の為のCASHのシステムアップグレードに関してCASHとの会合を調整した。その結果、iTunesの中国楽曲ライブラリーでは極めて多数の中国語楽曲が中国語タイトルが無いままになっているという事が明らかになった。これは利用者が正規に楽曲を導入しようとする意欲をそぐもので、香港のレコードメーカーはかかる情報不足を既に認識しており、楽曲データのアップデートを開始している。

マカオ

著作権管理団体が啓蒙活動

MACA(著作権管理団体)は音楽著作権の啓蒙活動の為に、地元大学と様々なセミナーを開催している。MACAはそれにより若い世代が音楽を尊敬する気持ちを持って欲しいと希望している。セミナーにおいてはクリエーターが如何に世界の著作権の管理業者や音楽出版社のネットワークを通じて著作印税を得るかについて説明した。

中国

MCSC、違法利用で主要サイトに勝訴

MCSC(著作権管理団体)は、5楽曲の違法な著作権利用に関し主要なウェヴサイトのggcom(音楽、エンターテインメントSNSを提供)を訴え、ggcomは2400米ドルの罰金を課せられた。裁判費用は罰金の小ささを考えれば割にあわないが、音楽著作権の啓蒙と注意喚起というMCSCの立場からみれば良い結果であったと考えられている。
MCSCは裁判において、これは単にこれら5曲に関するのみならず、ggcomサイト上の全ての違法楽曲に対するものであると述べた。MCSCは更に1991年に著作権法が発効して以来、一般大衆の著作権への認識、理解、尊重はまだ薄く弱いと考えており、また、音楽著作権の尊重はより多くの楽曲作りへ繋がり、ひいては中国のより健全な知財環境を作るものと確信すると述べた。

インド

音楽著作権法発効で変化

音楽著作権法が本年後半に発効すると期待されている。新法下では放送局は適切な放送許可のライセンスを取得し、かつ印税を支払う義務がある。
同時に、この動きは既存の著作権団体の運営が適切になるよう、業界団体の注意を喚起するものである。従来、著作権者はほとんど印税をもらっておらず、インドの楽曲や映画がインドの外で人気が出た結果、著作権者は海外における知財の権利に目覚めたが、地元においての知財権利については認識していなかったのである。

ライタープロフィール
j-ho

ジョナサン・ホ
香港を拠点とし、1986年から音楽業界で活躍。1998年フジパシフィックミュージック東南アジア支社長。2007年から香港著作権管理協会(CASH)理事、香港音楽出版社協会会長。東南アジア地域の音楽出版社の集まりであるアジア音楽出版社協議会(AMPs)理事長でもある。