ICMPニュース vol.12 (2012年11月8日更新)

米国、フォーマット変換の合法化認めず

デジタルミレニアム著作権法の例外規定に関する見直しを受けて、米国著作権局は、DVD等へのフォーマットへの変換の合法化を却下した。
同局によれば、合法的に入手したDVDをその他の機器で見るためにコピーすることはフェアユース規定に反するものであるとし、如何なる裁判所もそれを合法とすることはないと述べた。同局は同法の例外規定について3年毎に再検討している。

著作権注意警告システム

米国著作権情報センターは、近々著作権注意警告システムが稼働すると発表した。同システムに参加する米国のISPは、著作権者の通告に基づきオンラインの著作権侵害が発生したとき、ユーザーに対して警告しなければならない。

中国でサブスクリプション

中国国内で配信される音楽についてクリエーターや権利者が正当な収入を得られるように、中国の大手音楽Webサイト事業社は2013年にサブスクリプション方式を採用する予定である。その大手にはBaidu及びTencentが含まれる。

有効な罰則

フィリピンの知財局は、知財侵害に対してより有効性のある罰則を課すよう知財法の改正を働きかけていると発表した。

EC、持続可能な成長計画発表

10月23日、ECは「CWP2012」を発表し、2013年及びそれ以後の持続可能な成長を如何に実現するかについて公表した。それによれば、EUにとっての目標は7つの主要分野と、知財に関する単一市場、その政策イニシアティブにまとめられる。適正な単一市場を通じて競争を生み出すことはその政策の一つであり、VATや請求書発行の経費削減、知財へのアプローチをより現実にあったものにすることを含めて適正な競争を妨げる事項削減も含まれる。
ICMPのGer Hatton専務理事は単一市場としての効果的な働きを増長する如何なるイニシアティブも歓迎するとともに、ICMPは配信世界の中でユーザーフレンドリーな創造的な成果を確実にするために努力する、また、適正な競争を醸成する上での障害を取り除くことは極めて大切なことであると述べた。
また、ECは、欧州議会及び欧州理事会、各国の議会、その他の主要な関係団体と協調してその実現のために努力すると発表した。

EU、文化予算増大

11月に承認されれば、EUの文化予算は2007-2013年(12億ユーロ)と比べ2014-2020は18億ユーロ以上に増大する見込みである。これが実現すれば大変喜ばしい。ECによれば補助金の増額はより多くの映画が作られ、翻訳されるのみならず潜在的に非常に大きな可能性を持つ産業部門の育成に役立つものであるとしている。

米国、日本が反対

米国及び日本の業界は、ECのデータ保護に関する新しい提案に対して、成長しつつあるクラウドコンピューティングにマイナスの影響を与えるものとして反対している。

権利者不明作品の利用可能に

権利者不明作品の限定的利用に関するEUのDirectiveは、10月27日に正式に法律となった。加盟国は実施までに2年の猶予がある。

欧州的価値

ECは10月31日、ポーランドのロックバンドが「冒瀆罪」で起訴されたことについて欧州的価値に反するものと述べた。同国の冒瀆罪法は、国内法であるが、欧州加盟各国は国際法を尊重する必要があるとした。このバンドはポーランドの「Begenoth」で、2007年のステージでは、同バンドのボーカリストが聖書を破り、ローマカトリック教会を「殺人的カルト」と叫んだという。

スマートフォンも補償金の対象

オランダ安全公正省は2013年1月より、権利者の得べかりし利益の損失を補填するため私的複製補償金の対象にオランダ国内で販売されるスマートフォン、タブレット及びMP3を追加すると発表した。消費者は1端末につき最大5ユーロまでの補償金を支払うことになる。

新システム開発

10月13日、フランスのHadopiはサーチマンシーンにより合法的な配信と非合法のそれとを比較する「リンクストム」という新しいシステムを開発中である旨発表した。これにより配信世界における合法的コンテンツの広範な状況がわかることを期待している。

英国MPA、グーグルに書簡

英国MPAのNavin理事長及びButler会長は配信上の合法的なコンテンツを拡大し、クリエーター及び権利者への公正な補償を確保するために、もっと積極的になるべきとの書簡をグーグル社に出した。特に検索結果の中に違法活動をしているサイトをあげないよう、また著作権違反に関するポリシーを無視しているアプリをグーグルストアで購入することができないよう、グーグルに呼び掛けている。また同時に同書簡はアンドロイド用のアプリの販売は著作権侵害を増大すると指摘している。

管理団体に最低基準

10月31日、英国知財局は著作権管理団体のための「最低基準」を発表した。同基準は公正、公明、及び良心的運営をカバーし、最終的には各管理団体の行動指針の基礎となることが期待されている。