ICMPニュース vol.19 (2013年3月26日更新)

米連邦裁、IPアドレスだけでは不十分

連邦裁判所は著作権侵害の身元確認にはIPアドレスだけでは不十分とした。その理由は、ネットワークは安全が保証されているか否かに関らず侵入に対しては弱く、いったん侵入されてしまうとネット上で誰が何をしているかを知ることは極めて難しいからであるとした。

ファースト・セール・ドクトリン

3月19日米国最高栽は、教科書に関するKirtsaeng対John Wiley裁判で、米国外で購入された商品を出版社や製造元の許可無く米国内で再販売することを認めた(ファースト・セール・ドクトリン)。判事によれば、米国内外を問わずいったん商品が合法的に販売されたら、出版社・製造元は米国著作権法下で保護されていた権利を失うとした。

米著作権法は時代遅れ

3月20日の議会公聴会で、Maria Pallanteは、著作権強化、ライセンスの枠組、図書館利用、視覚障害者及び著作者不明作品に対する例外規定や制限を含め、現著作権法が改正を必要としていると主張した。
これに対して、NMPAのイスラエリ理事長は、「現在の米国著作権法が時代遅れになっている事は自明であり、米国のソングライター及び音楽出版社に代わって今回の動きを歓迎する」と述べた。

フィリピンに新著作権法

フィリピンでは3月8日新著作権法が最終的に承認された。これにより著作権局が創設され、知財保護の法的な枠組が強化されることになる。

中国、サーチエンジンが支払いに同意

中国のレコード各社は、インターネット会社Sohu及びそのサーチエンジンSougouに対してライセンス契約違反の訴訟を起こしていたが、和解したと発表した。今後、Sougouは各レーベルに対して使用料を払うことになった。

オーストラリア、20年を望む長期文化方針

オーストラリアは、文化活動及びその支援計画について今後20年に及ぶ最も意味のある国家文化方針を発表した。長期的戦略「クリエイティブ・オーストラリア」は、オーストラリア連邦文化担当相によれば、「素晴らしさ、仕事、繁栄、機会及びオーストラリア個有の物語を作り出す」ものであるという。

ライブTV再送に放送局と制作者の許諾

EU裁判所はライブTVをオンラインで再送するためには放送局と番組制作者の許可を得る必要があることを確認した。これは無許可でライブTVをストリーミングしていたTVCatchup.comに関する訴訟で決定されたものであるが、関係者はこの判決により、そのようなサービスをしているサイトに対する権利者からの訴訟が増加をするとみている。

著作権侵害と合法的音楽配信の関係

「ネット上の配信音楽の利用-Clickstream資料による証拠」と呼ぶ新しい報告書がEC合同調査センターにより発表された。それによれば、大量のネット上の著作権侵害は必ずしも合法的音楽配信に悪影響を及ぼさないとしている。
しかし、これは従来の仮説には反する。
例えば、Breff Danaher他による2012年の報告書によれば、フランスのHADOPI(無許可のコンテンツを流しているサイトの撤去を目指して活動中)は同国の音楽配信の売上に貢献したし、またMegauploadの閉鎖は映画会社の配信収入増加をもたらしたとする。つまり著作権侵害のレベルとその売上の相関関係によると考えられる。
他方、研究に使用された方法に問題ありとする説もある。なぜなら実際の売上ではなく、サイト(合法であれ非合法であれ)訪問(クリックしてそのサイトを見ること)を販売とみなしているからである。