ICMPニュース vol.2 (2012年4月25日更新)

豪・Song Summit 2012 開催

APRA(豪演奏権団体)とAMCOS(豪録音権団体)は共同でSong Summitを5月26日(土)から28日(月)までシドニーで開催する。これは、オーストラリアのローカルソングライターに対し、教育的支援と新しいビジネスを生み出す為のネットワーキングの機会を提供する為のものである。
同会議は5月26日(土)から3日間に亘り開催され、インターナショナルおよびローカルアーティストによる5つのライブ公演のほか、各種ワークショップ、会議、ショーケース等を含む。
また、2012 Song Summitでの新しい取組みは、AMPAL(豪音楽出版社協会)とICMP共催で同期間中に「Publishers Summit」が開催される事である。同Summitは、音楽出版社を対象とし、音楽出版事業のベースとなる一連のワークショップとパネル協議を含む。5月26日は、「GRDへの道のり」および「アジアの音楽出版-機会と危機」、27日は、AMPALのキャサリン・ジェラルドとICMP会長アンドリュー・ジェンキンスによる「国境を越えたシンクロの機会、違法DLに対する現在の問題と解決策、音楽出版社にとって出版社協会の役割等」についての出版社のみを対象とする会議が予定されている。

ナイジェリアのミュージシャンの著作権使用料徴収に向けて(世界知的所有権機関WIPO)

WIPO(世界知的所有権機関)は、ナイジェリアのミュージシャンが海外で使用された楽曲の著作権使用料を得られるよう、技術的サポートを行った。ナイジェリアのミュージシャンによる多くの楽曲が世界で広く利用されているのだが、主なインターナショナルデータベースに載ってないがために、徴収が行われていない。WIPOは、ナイジェリア著作権団体に、必要なテクノロジーを導入するのみならず、すべての西アフリカ集中管理機構の為のデータベース及び、データ交換システムを確立するための新プロジェクトを発表した。

北米、主要音楽業界団体ら、録音使用料率と業界標準で合意

音楽出版社、ソングライター、レコードレーベル、デジタル音楽サービス、携帯会社を代表する、RIAA (全米レコード協会)、NMPA(全米音楽出版社協会)、DiMA(米デジタル・メディア協会)は、消費者が音楽にアクセスし楽しむための最新のビジネスモデルをサポートするために、録音権使用料率と業界標準について合意書を発表した。
この25ページにおよぶ合意書は、CRB(著作権使用料会議)に提出され、正式に承認されれば、消費者に、新しいデジタルビジネスサービスとビジネスモデルの展開の為に、著作権法第115条のもと、5つの新カテゴリー毎に、その条件を規定するものである。
新規追加の5カテゴリーとレートは以下:

  1. 有料ロッカーサービス(iTunesが消費者に提供しているようなもの):収入の12%、または、全コンテンツコストの20.65%、もしくはサブスクライバー一人当り17セントのうち、高いもの。
  2. 無料ロッカー付き音楽購入:収入の12%か、全コンテンツコストの22%、いずれか高い方。
  3. ミックス・バンドル(携帯電話のサブスクリプション・サービスに音楽が含まれているもの):収入の11.35%か、全コンテンツコストの21%、いずれか高い方。
  4. 限定的インタラクティブ・サービス(ジャンルやプレイリストなど利用音楽の範囲が限定的なサービス):収入の10.5%か、全コンテンツコストの18%、もしくはサブスクライバー一人当り18セントのうち、高いもの。
  5. ミュージック・バンドル(配信付きCD等):収入の11.35%か全コンテンツコストの21%、いずれか高い方。

北米、国内3分の1の仕事は知財と関与

アメリカ商務省は、4月11日、著作権と知的財産は、アメリカの経済に大きく影響していると発表した。その報告では、アメリカ国内の仕事の約3分の1が知財に関連しているとして、経済にとって知的財産がいかに重要であるかを言及。2010年のベースで、知財に大きく関与する業界の雇用は約2700万人、他関連業界では1290万人だという。

北米、クリエイティブ業界とインターネットサービスプロバイダー、著作権保護促進へ

映画スタジオと音楽企業は、アメリカ著作権情報センター(CCI)の設立を計画している。CCIは、クリエイティブ産業とインターネットサービスプロバイダー間をつなぎ、オンラインの著作権保護の強化を促進し、ユーザーに対する、ネット上のデジタルコンテンツへの合法的なアクセス手段の教育を目的としている。

欧州、私的録音録画補償金制度の意見交換がスタート

EU加盟国間の私的録音録画補償金に大きなばらつきがある問題への取り組みのため、欧州委員会によってメディエーター(調停役)に選任された、アントニオ・ヴィトリーノ委員は、4月5日、その活動を開始した旨発表した。その中で、ヴィトリーノ委員は、課金設定の方法、国境をまたぐ取引、課金支払者の決定、補償金制度の可視性、また、新しい配信フォームにおける私的コピー、及び補償金制度への影響等、主要な論点についてのフィードバックを関係者に要請した。意見提出の受付は5月末日までとなり、ICMPも提出へ向け準備している。

ロシア、9月までに、インターネット媒介者へ著作権責任法律化の可能性

メドベージェフ首相は、ロシア民法の改正案を議会へ提出した。それには、インターネット媒介企業への著作権の拡大、ロシアのインターネットサービスプロバイダーに、著作権者によって著作権侵害だと認められたコンテンツの削除要請を含む。政府は、「この案は、ネット上で大量に起きている著作権違反を正すため」とコメントしている。
ロシア議会で承認されると、9月には法律化される。現在、内務局は、オンライン著作権侵害の状況を明確にするため、国内のプロバイダーへ聴き取りを行っている。