ICMPニュース vol.1 (2012年4月10日更新)

欧州、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA) 進展

欧州議会の国際貿易委員会は、3月27日、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の実施へ向け議論した。
この条約は、知的財産権保護の強化且つ一貫した国際的枠組みを作ることを目的とし、既に欧州理事会とEU加盟22カ国が署名し、現在は、欧州議会で批准のための協議に入っている。欧州委員会は、EU法に遵守するため、ACTAを欧州司法裁判所へ付託。今回の国際貿易委員会では、欧州議会が別途、条約を裁判所へ照会すべきかが議論され、投票の結果、照会しないと決まった。今後、ACTAは、2012年5月30日に投票予定の国際貿易委員会と本会議で議論される。

欧州、デジタル市場成長と知的財産

欧州シンクタンク Bruegelと英国知財オフィスは、3月28日、ブリュッセルで、デジタル市場における知的財産の役割をテーマとしたセミナーを開催した。
Ian Hargreaves教授は、英国政府を代表し、評論を発表。その評論によると、権利者への公正な補償金のない私的録音録画補償金制度の除外を提示しており、EU法と一致していない。
英国ボーンマス大学のMartin Krestchmer教授は、報告書「Private Copying and Fair Compensation: An empirical study of copyright levies in Europe」を発表。プレゼンテーションの中で、EU加盟国間の私的録音録画補償金に大きなばらつきがあることを指摘。欧州委員会メンバーは、新しいビジネスを促進しつつ権利者を保護するバランスのいい政策アプローチを求めた。
ICMPは、公正な補償金が権利者へ支払われる原則を強く支援している。 EUでも認められているように、大量の私的コピーにより著作物は損害を受けている。
特に、オンラインコンテンツの持続可能なビジネスモデルが、いまだ整っていない地域では、この補償金は、作曲家、作詞家、出版社、その他の権利者にとって重要な収入源である。私的録音録画補償金制度は、権利者への正当で適切な補償金を保証するレベルに設定すべきである。

欧州、知的財産権団体の強化

欧州連合(EU)理事会は、ヨーロッパ知的財産権侵害監視機関の管理を欧州共同体商標意匠庁(OHIM)へ委託する条例を採択した。監視機関は、知的財産権侵害による影響と、知的財産の価値の理解を高める目的としている。

オランダ、プロキシ・ウェブサイトの管理者へサイト遮断要請

オランダの反著作権侵害団体BREINにより、最近オランダでもブロックされたファイル共有サイト「パイレート・ベイ(The Pirate Bay)」へのアクセスを顧客へ可能としていたプロキシ・サービスのプロバイダーへ、アクセスを遮断するよう裁判所命令が下された。また、BREINは、他のプロバイダーへも、プロキシ・サービスを停止するよう要請している。プロバイダーは、命令に従わない場合、1日につき1,000ユーロの罰金を支払うことになる。

ロシア、レコードレーベル携帯大手へ著作権使用料を要求

ロシアのレコードレーベル数社は、ノキアとサムスンの音楽使用許諾を一時的に見合わせている。両社の楽曲の著作権使用料を支払いがされておらず、未払い額はおよそ4000万ドルに及ぶという。

全米音楽出版社協会(NMPA)、著作権法第115条の改訂へ動く

全米音楽出版社協会(NMPA)、 David Israelite理事長兼CEOは、NMPAは、米国著作権法の115条、「非演劇的音楽著作物に対する排他的権利の範囲:レコード(フィジカルとデジタル)の製作及び頒布のための強制許諾」について、改訂に向け活動していると述べた。
「100年以上前に作られた法律は、現代の音楽制作と頒布の抜本的な変化には対応していない。クリエイティブ活動に携わる作家、音楽出版社等は、各種新メディアで新しい環境に適合しつつ創作活動を続けているので、ファンは好きな音楽を楽しむことが出来る。音楽が、現代社会で発展していくかぎり、法律も進化すべきである。」と、Israelite氏。

オーストラリア、ミュージシャンとレコード会社、著作権使用料に関する訴訟で敗訴

レコード会社とミュージシャンは、1968年から続いている、ラジオ局から録音された音楽の使用料の上限1%を上げるため、高等裁判所で訴訟を起こしていたが、敗訴した。