2023年10月31日付

ジョナサン・ホ（フジパシフィックS.E.Asia）

香港

　政府がナイトタイム観光プロモーションプログラムを実施へ

　前回の号で述べたように、夜のエンターテイメントシーンはコロナ前の状況にまだ戻っていません。そのため、政府は「ナイト・ヴァイブス香港」というプログラムを立ち上げました。これは小売業やエンターテイメント業界を刺激するためのものです。このプログラムでは、夜の上映の映画チケットが割引されます。また、映画館やテーマパーク、博物館は営業時間を延長したり、割引料金を提供したりします。週末には香港島・九龍半島両方のハーバーフロントでいくつかのナイトマーケットが開かれます。さらに、観光局は近隣の東南アジア諸国向けのプログラムを導入し、旅行関連の経済をさらに活性化させることを目指しています。

　TVBの人気タレント番組「ミッドライフ、歌って輝け」のシーズン2が9月中旬から開始されました。シーズン2では、中国本土、東南アジア、北アメリカからより多くの参加者が集まりました。30代半ば以上の参加者たちが、数々のクラシックヒット曲を選んで歌っています。一方で、Viu TVは若い視聴者をターゲットにし、地元の新しい若手才能を活かしてローカルオリジナルの曲を制作しています。これら2つのテレビ局は、かなり異なる年齢層の視聴者を持っています。3番目のテレビ局、Hoy TV（オープンTV）は、引き続き旅行や社会に関する番組に焦点を当てています。
　

マカオ

　MCSCとMACAが横琴地域のMOUに署名

　MCSC（中国）、CASH（香港）、およびMACA（マカオ）による大湾区MOUの署名後、MCSCとMACAは横琴地域（マカオの西に位置する新たに開発された経済特区）のための追加の協力MOUに署名しました。この協力により、MACAは次の数年間の計画を推進するマカオ政府による芸術文化の発展計画と共に、様々な新しいビジネス分野のライセンス拠点を開発する機会をさらします。

　コンサートビジネスは着実に成長しています。数多くの大規模ホテルやリゾートは、香港から多くの歌手を招いてコンサートを開催し、香港の市場の需要を満たすために大きなイベントホールを活用しています。ホテルの会場でコンサートを開催することで、客室の利用率も向上します。さらに、音楽ファンはマカオでのコンサートチケットを購入しやすいと述べています。マカオはサイドトリップとして訪れるのも良いアイデアです。
　

中国

　タレントショーが停滞

　故人の有名な歌手の録音が拡散した後に起きた視聴者の大規模なボイコットのために、人気のあるタレントショー「Sing! China（旧称：The Voice of China）」が無期限延期となりビジネスが後退しています。それに加えて、制作費が高騰している一方で、広告収益の一部が地元のインフルエンサーに流れています。一部の制作会社は出版社に対し、シンクロ・フィーを50％（約5,500米ドル相当）削減するよう求めています。しかし、出版社は慎重な態度を示し、ケースごとの取り決めのみを検討する考えです。
　

ベトナム

　出版社とVCPMCはアジアや海外の楽曲の共同ライセンスに向けて協力を模索

　今年5月にバンコクで出版社とVCPMCの会合が行われた後、両者は地元のMCN（Multi-Channel Network）制作物のライセンス取り扱いについて再び協議を始めました。地元のMCNのコンテンツは依然として強力な成長を続けていることが注目されています。ライセンスの問題から、使用されている楽曲のほとんどはベトナムの楽曲です。デジタル市場が国内で開かれているため、より多くの外国の楽曲が知られるようになっています。なので、出版社とVCPMCはアジアや海外の楽曲の共同ライセンスに向けて協力を模索したいと考えています。

ライタープロフィール

ジョナサン・ホ
香港を拠点とし、1986年から音楽業界で活躍。1998年Fujipacific Music (S.E.Asia) Ltd.マネージングディレクター。2007年から香港著作権管理協会（CASH）理事、香港音楽出版社協会会長。東南アジア地域の音楽出版社の集まりであるアジア音楽出版社協議会（AMPs)理事長でもある。