ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)2025年12月31日付

2025年12月31日付

ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)

香港

 シンクロナイズ権の存続期間をめぐる対立—放送局と出版社の見解の違い

 香港政府系テレビ局RTHKが、シンクロナイズ(映像と音楽の結合)権の存続期間が永久かどうかという問題を最近提起した。この問題は、地元のレコード会社やIFPI(国際レコード産業連盟)香港支部からも提起されており、音楽が映像作品に組み込まれた後、その使用期間が1年や3年などに限定されている場合、期間終了後にその映像を取り下げる必要があるのかという点が争点となっている。
 
利用者(放送局など)の立場では、一度シンクロされて固定された作品であれば、演奏権のライセンスが有効である限り、追加の使用料を支払う必要はないと考えている。
 例えばRTHKは、もしテレビ番組向けの包括的シンクロ契約がMPA(音楽出版社協会)メンバーとの間で終了しても、その契約期間中に作成された番組は、演奏権がクリアされていれば引き続き放送可能であるべきだという見解を示している。
 
一方で出版社側は、シンクロナイズ・ライセンスは常に使用条件と期間の制限付きで付与されるものであり、多くは永久ライセンスではないと主張している。
 映画会社の中には、出版社が一般的に設定する5~7年のシンクロ期間に対する不安を表明するところもある。出版社側は、例えば7年後には作品の状況が不透明になる可能性があり、その時点で権利をコントロールできる余地を残す必要があると説明している。
 
もっとも、出版社の中には、期間満了後に直ちに作品の削除を求めるわけではないところも多く、実際には特定の権利を留保しておくという意味合いが強い。

台湾

 デジタル演奏権料率をめぐるMUSTと政府の攻防

 著作権管理団体MUSTは、台湾の智慧財産局(IPO)に対し、デジタル演奏権の強制使用料率を現行の2.5%から8%へ引き上げるよう要請した。
 IPOは市場のデジタル事業者と権利者のバランスを考慮した結果、2026年から2.75%に引き上げるとの判断を下した。
 
 またMUSTは、OTT(動画配信)プラットフォーム向けのライセンス料率の見直しも求めたが、IPOは市場調査の結果、0.8%を維持する決定をした。
 これに対しMUSTは再度申請を行い、OTTでは音楽の使用量が多いとして、3.5%への引き上げを要望している。
 
 一方で台湾の出版社は、MUSTと演奏権と複製権を包括的にカバーするブランケット・ライセンスの交渉を進めており、権利の保護をより強固にすることを目指している。

中国

 MCSCとテンセント音楽、戦略的包括ライセンスで協力強化

 11月下旬、中国の著作権管理団体MCSCは、中国最大級のデジタル音楽事業者テンセント・ミュージックと戦略的ライセンス契約を締結した。
 MCSCはテンセントと、自団体が管理する楽曲レパートリーの権利について協議を進める一方で、一部の楽曲については法的措置も取っていた。
 
 両者は、この包括的ライセンス契約により、テンセントの各種デジタルプラットフォーム上でMCSC管理曲の利用が円滑になるとの認識を示している。

インドネシア

 WAMIが政府監督下で暫定復帰—権利処理の信頼性に課題

 音楽著作権管理団体であるLMKNが、8月に2つの管理団体(CISAC会員である、演奏権とデジタル権を管理するWAMIを含む)を一時的に業務停止させたことを受け、12月初旬、WAMIはCISACアジア太平洋事務局の調整のもと、LMKNと6か月間の監督付きでの業務継続に合意した。
 
 WAMIは、海外の相互管理団体に対してこの取り決めを説明するとともに、現行法ではデジタル権を含むすべての演奏権は、政府が認可した国内CMOを通じてライセンスされるべきであると強調している。
 
 しかし、WAMIがロイヤルティを正確かつ効率的に処理できるかどうかについては依然として疑問視されている。
 WAMIはシステム変更後、地元の作曲家たちからロイヤルティ明細に関する深刻な苦情を受けた過去がある。


ライタープロフィール
j-ho

ジョナサン・ホ
香港を拠点とし、1986年から音楽業界で活躍。1998年Fujipacific Music (S.E.Asia) Ltd.マネージングディレクター。2007年から香港著作権管理協会(CASH)理事、香港音楽出版社協会会長。東南アジア地域の音楽出版社の集まりであるアジア音楽出版社協議会(AMPs)理事長でもある。