2016年6月30日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
VIU TVについて
VIU TV(香港の無料衛星放送テレビ局) は、2016年4月2日に放送を開始して以来、独創的な番組が視聴率を伸ばし続けています。VIU TVの第二ステージは、歌手がトーク番組に参加したり、旅のドキュメンタリー番組を増やしたりすることをターゲットとしています。VIU TVは今までのようにドラマ番組に力を入れるのではなく、話題になり、エンターテイメントのトピックについて語るトーク番組に注力すると語っています。無料放送の第三弾となるMiracle TV (ケーブルTV香港傘下)は、シグナル放送のテストを行っており、本年中にはチャンネルを開設する予定になっています。
TVBとユニバーサルレコード香港
TVB(香港の民放テレビ局)とユニバーサルレコード香港の間で、TVBが制作する番組にユニバーサルレコード香港の音源を無期限で使用できることについての論争が展開されました。TVBには地域のレコード会社との古い買い取り契約があり、この契約は、音源をTVBが自社のドラマに合計10香港ドル (無償も同然)で使用できるというシンプルな内容でした。見返りとしてTVBは、ドラマや他のプラットフォームで使用されている曲のプロモーションを行いました。しかし、ユニバーサルはこの古い契約は時代遅れで、継続するべきではないと主張しました。TVBはこれに同意せず、TVBのプラットフォームから全てのユニバーサルの曲の削除を主張し、その買い取り契約に基づきドラマの権利保有を主張しています。
音源の高音質での再録音について
出版社は、数多くの良い録音状態の音源が販売されていること、またそれらがパブリックドメイン(発売から50年以上経過)であるということに気が付きました。いくつかのインディーレーベルは、このような保護期間が終了した音源をさらに高い音質技術で録音しなおし、新しく再録音をした音源の権利保有を主張しています。音源の原権利を保有するレコード会社はこの動きを快く思わず、関連出版社に録音権の許諾をさせないようにしました。しかし出版社は、新たに施行された競争法に違反することを恐れて慎重な態度を取っています。
マレーシア
権利管理団体の動きについて
政府は、MACP(著作権管理団体)とPPM(レコード協会) と2つの実演家団体のすべての権利をカバーするために、新しい別の管理団体を発足させると発表をしました。2つの実演家団体が使用者に対して高額な使用料請求を競っていたため、政府は一つの権利管理団体に集約をすることによって問題は解決されると考え、この構想が発案されました。しかしPPMは、実演家団体の問題だけであり、その団体間で解決するべきだと考えています。多くの権利については問題ないため、他の権利管理団体に影響を及ぼすべきではないと考えています。
もう一つの問題点は、議長とCEOの席が政府によって決定されるため、政府によって団体が監視されるのではないかということです。権利者は、政府によって決定が下されると拒否権がないように感じ、多くの作家がPPMから権利を取り下げすると考えられます。一方MACP側では、支持する人と反対する人は半々です。このように状態が安定しない中でいくつかの出版社は概要を理解するため、またこの重要な段階で会員のためにもっと透明化させるために特別な全体会議が開かれることを望んでいます。現段階では、初めてその会議は行われることになりそうです。
タイ
CISAC アジア・パシフィック・カンファレンス
5月中旬にバンコクで行われたCISAC アジア・パシフィック・カンファレンスに、東南アジア地域でビジネスを広げるいくつかの出版社が参加をしました。特に出版社の力が強くない地域において、出版社はいくつかの東南アジアの著作権管理団体との論議を強化したいことを述べました。出版社が著作権管理団体とさらに良い関係を保つには、きちんと管理されたデータ管理システムが重要的なポイントとなることを主張しました。過去2~30年の様々な問題を振り返ると、根本の問題は常に楽曲の登録や使用料の分配から発生しています。カンファレンスでCISAC事務局は、使用者が包括で録音権の許諾取得ができるように、出版社がモンゴルのような発展途上国の著作権管理団体へさらなる援助をすることを期待しています。