ICMPニュース vol.22 (2013年5月17日更新)

GRD、ロンドンに本部

(GRD=Global Repertoire Database(グローバル・レパートリー・データベース):楽曲の権利者や管理情報の世界共通データベース)

著作権者や楽曲管理に関する包括的、かつ単一のデータベースを創設するための業界間の協力機構であるGRDは、本部をロンドンに、運用センターをベルリンに設置すると発表した。
本社機能と事業開発機能を含むロンドン本部は、今年後半の開設を予定しており、ベルリンの運用センターは、登録やデータ処理施設、今後の成長に伴い世界的な運用を支援するためのフォームを提供していく。
GRDが完成すれば、音楽著作権管理のための配信その他の楽曲ライセンスに関する新しくより効率的な世界的インフラが創設されることになる。
GRD開発における次のステージは、現存しているライセンスや支払いのためのシステムとの互換性のある新しいデータベースのシステム及びプロセスの技術構築である。

シンガポールとブラジルがIP(知的財産)協定締結

5月3日、シンガポールとブラジルの知的財産事務局は今後5年間にわたる知的財産改善協定に関する覚書に署名した。情報交換、ベストプラクティス、そしてIPに関する様々な問題の知識共有が促進されることが見込まれる。

USTR(米国連邦通商代表部)、ウクライナをIP保護に関して最下位指定

様々な国における知的財産権保護について、USTRの2013年版年次特別報告書301は、ウクライナはIP保護に関して最下位であり、問題のある国と明記した。
これは、同国内における大規模なオンライン上の著作権侵害をもっぱらとするサイトに対する政府の無力や著作権管理団体が有効に機能していないことなどによるものである。この報告書にはウクライナの他にも警戒国として、アルジェリア、アルゼンチン、チリ、中国、インド、インドネシア、パキスタン、ロシア、タイ、ベネズエラを挙げている。

COMESA(東南部アフリカ市場共同体)、IPを成長戦略の中心に

COMESAは、この地域の経済競争力を改善する上で知財保護の重要性を強調する知財政策を策定中である。策定中のIP政策目的は、IP技術革新のために組織や人的資源育成に優先順位をつけることである。

フィリピン:知財保護に「もっと努力」を

フィリピン政府は、最近出版されたUSTRの2013年版年次特別報告書301(上記アメリカ記事参照)を受けて、知的財産権保護の改善について鋭意努力することを明らかにした。

台湾企業、違法ダウンロードから有料会員へ

音楽の違法ダウンロードが一般的であった台湾で、台湾企業であるKKBoxが違法ダウンロード者達を有料会員へ変えることに成功している。KKBoxは今や、台湾、香港、日本、シンガポール、マレーシアにユーザーを抱えるアジア最大のオンライン音楽ストリーミングサービス提供会社である。

フランス最高裁:徴収団体は「会員のみを保護」

フランス最高裁判所は、著作権と隣接権の著作権管理機関は会員であるアーティストの権利のみを保護するものと表明した。この判決は、60年代、70年代の音楽が使用されている「Podium」と呼ばれる仏ベルギー映画に関して行われた。
問題の管理団体SPEDIDAMは、複数のアーティストを代理人として映画製作者を訴えた。その内数名のアーティストはSPEDIDAM会員であった。最高裁判所は2011年のパリ上告裁判判決を支持し、SPEDIDAMは、所属していないアーティストの利益を保護することはできないと判断した。

スリーストライクルールは違法?

5月8日、データ保護コミッショナーは、最高裁で発言しISP Eircomによる著作権侵害に対する累進対応システムは、審議の対象となるべきと主張した。Eircomに対し、使用者への著作権侵害警告の送信停止を求める同コミッショナーの指令は、2012年の裁判によって覆されている。
同コミッショナーは、「スリーストライク」規定がプライバシーとデータ権の違反であるかどうか判定するよう3人の裁判官に尋ねた。レコード会社は、インターネット上で他人が自由にアップロード出来るように著作権のある楽曲をコンピューターに保存することは、プライバシーの問題にはならないと主張している。
裁判は、まだ判決を下すに至っていない。

英国、企業と規制改革法案、国王の裁可を受ける

4月25日、企業と規制改革法案は議会の承認と国王の裁可を受けた。とりわけ、新法は、政府が著作権の例外的な変更や著作権者不明の作品を利用者にライセンスすることを可能にするものである。
法案通過によって、英国知的財産事務局は、作品の利用に関する「入念な捜索」要件の定義づけに権利保護団体が関与することになるだろうとしている。