ICMPニュース vol.23 (2013年5月31日更新)

日本、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)協議で知的財産保護を提案

ASEAN諸国とその他10ヵ国間での第1回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協議で、日本は知財保護について議論するための分科会設立を提案した。第2回は9月にオーストラリアで開催予定。

議会委員会、欧州・米国間FTA(自由貿易協定)における音楽映像部門について

アンドゥルラ・バシリウ欧州委員は、来たる欧州・米国間の自由貿易交渉について「既存の欧州間の政策及びそれに連動したメンバー各国の音楽映像産業を規制し、かつ国内及び欧州内のコンテンツの保持に関する諸規則に影響しない」と述べた。
これとは別に、5月23日欧州議会(EP)は欧州・米国間の自由貿易交渉において拘束力のない決議を採用した。それによれば、音楽映像サービスは交渉から除外されるべきであり、また今後の自由貿易協定(FTA)は知的財産権保護の強化を含むべきと強調した。
これら両国間の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)交渉は7月に開始の予定。

米国、権利者の集団訴訟裁判認めず

米国の地方裁判所は、音楽出版社、イングランドプレミアリーグ、フランステニス連盟が著作権のある映像をyoutubeで無断使用されたとしてGoogleを提訴したが、これら権利者の集団訴訟を却下した。
裁判官によると、法律上の分析としては、似たような事例に対して様々な原告達がおり、各著作権者の事例はそれぞれ判断されなければならないとした。

米国、著作権改革に向けて公聴会を開催

5月16日に行われた著作権改革における議会公聴会にてパネリスト達は、長年議論されてきた幾つもの改革案を提示し、既存の著作権システム改正が必要との点で一致した。特に権利者不明の作品問題に焦点をあて、著作権登録システムの改善策を提案した。また、著作権侵害による法定損害を制限する問題も議論された。同公聴会は著作権法再検討の開始を意味するものである。

ガロ氏、CRM(集中権利管理)指導に関する報告書を提出

欧州議会(EP)の審査官であるマリエル・ガロ氏は、集中権利管理システム(CRM)に関するEU 指令案について報告書を提出した。同報告書には、管理団体の定義を非営利団体まで含めるように拡大し、小規模な管理団体のための例外を除外し、管理団体内における様々な分野が公正に代表されるように努力することを含んでいる。同報告書において、ガロ氏は集中管理システムの透明性の重要性、なかでも、権利者への分配に関する透明性を強調した。EU指令案は、現在EP内の関係する各委員会において協議されており、11月に総会に提出される予定である。

オランダ、ING銀行に口座情報開示は要求せず

オランダ裁判所は、BREIN(地域の海賊版対策団体)に対してING銀行はオンライン上で著作権侵害が疑われる容疑者の口座情報開示義務はないと裁定した。また、裁判所はBREINに対し、ドメイン名所有者とそのホストプロバイダーを追跡するのに十分な処置をとっているかどうか疑問を投げかけた。BREINは控訴する考えであると発表した。

ドイツ、裁判所が映像取り込みを支持、しかし最終判決はECJ(欧州司法裁判所)へ委ねられる

5月16日、ドイツ連邦裁判所は、一般公開されている著作権のあるインターネット上の映像を第三者のウェブサイトに組み込むことは法律上問題ないと裁定した。しかしながら、この事例の最終判決は欧州司法裁判所(ECJ)へ委ねられた。

ドイツ、無数のサイト管理者に実刑判決

BitTorrent管理者は、著作権のある作品を商業的に利用したとしてドイツ裁判所から3年10ヵ月の実刑判決を言い渡された。裁判所は管理者が広告収入の最大化にしか関心がなかったとした。

英国、インターネット接続業者が著作権侵害サイトを遮断

英国のインターネット接続業者は、裁判所命令を受けてユーザーがMovie2KやDownload4Allといった違法ウェブサイトへの接続遮断を開始した。映画協会の、それらが大規模な著作権侵害を促進する、との主張が認められたものである。

台湾、海外の危険なウェブサイトへの接続遮断を提案

5月21日、台湾政府は国の知的財産事務局に、同国内のインターネット接続業者に対して大規模な著作権侵害に携わるウェブサイトへのユーザーの接続遮断を許可する著作権法改正を提案した。改正案導入前に公聴会が開かれる見込み。