ICMPニュース vol.26 (2013年7月12日更新)

ICMP、マラケシュ条約を歓迎

ICMPは視覚障害者のために出版物へのアクセスを改善するマラケシュ条約を歓迎すると公表した。長くて難しい交渉の末の条約締結をICMPは歓迎するものである。
同条約は、視覚障害者がアクセスできるフォーマットでの作品の提供と、既存の著作権法の尊重のバランスをとることが可能であることを証明している。
6月27日に同条約が締結され、EU国間で既に存在している著作権例外規定に類似した規定を導入することを、加盟国メンバーに要請している。また、国境を越えて特別なフォーマットコピーを交換する方法を提供するものである。同条約は国際著作権協定を基にしており、著作者の権利を尊重、創造力を促すように設計されている。

シンガポールとメキシコ、知財条約強化へ

7月1日、シンガポールの知財事務局とメキシコの産業財産庁は、中小企業を支援し、知財の一般認識を高めることを含む2国間の知財に関する協力についての覚書に署名した。同覚書は3年間有効である。

スキャンダルは貿易取引に関係なし

欧州・米国間TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)における第1回交渉が7月8日に始まった。米国貿易当局は、最近の監視スキャンダルが貿易交渉に対する脅威とはならないと述べた。

欧州・日本間貿易会談に手応え

7月3日、欧州と日本間の自由貿易協定に関する第2回交渉が終了した。欧州から日本への輸出が32.7%増加する一方、日本から欧州への輸出が23.5%増加すると予想される。この交渉は知財を含むと予想されている。第3回交渉は、10月21~25日にブリュッセルで開催される。

米国、Google訴訟で逆転判決

電子書籍化プロジェクトでGoogleに対する集団訴訟を許可していた米国裁判所命令は7月1日に覆された。これは、関係する作家達がGoogleを集団では訴えることが出来ないことを意味している。
Authors Guild(米作家協会)は、Googleが作家の許可なしで2000万冊以上の本に索引をつけることで著作権を侵害したと話している。

米国、著作権侵害罰則を支持

米連邦高等裁判所は、2009年、オンラインでの違法なダウンロードや音楽ファイルの共有を行ったとしてジョエル・テネンバウム氏に67万5000ドルの損害賠償を命じた。テネンバウム氏は、憲法上に照らしても賠償が過大であると主張したが、裁判所は法定損害賠償の抑止要素にふさわしいとの判決を下した。

オーストラリア、著作権改正法案を提案

オーストラリア著作権法改正の新法案が、6月27日緑の党によってオーストラリア議会に提案された。採択された場合、この法案は、著作権に対する特例の「フェアユース」システムを導入、著作物に対する視覚障害者のアクセスを改善し、図書館や教育機関のための新しい特例をつくるものである。

コンピューターやプリンターも私的複製の課税対象と判決

6月27日、欧州司法裁判所は、複製プロセスの一部として使用されているプリンターやコンピューターを含むあらゆる機器は、私的複製の課税対象となるとの判決を下した。技術的保護が適用されているかどうかは関係ない。この判決は、プリンターやコンピューターメーカーからの補償申し立てをしているVG Wortに関する事例に関連して、ドイツ連邦裁判所の要請に応じたものである。

ドイツ、国会が孤児作品指令を導入、著作権侵害罰金の上限

6月27日、ドイツ連邦議会の下院は、孤児作品の認可使用に関するEU指令を実施するとの法案を採択した。
ドイツは、違法ダウンロードを行う者に対し、権利者が求めることができる最大の罰金を最大1000ユーロ(約1300万円)とする法律を採用した。この法律では、構造的にサイト侵害を行う事業者には適用されない。

フランス、著作権侵害コンテンツを監視、除外する必要なし

パリ控訴裁判所は、オンラインコンテンツを提供するプラットフォームは、一般的な監視義務を負うものではなく、権利者への予告なく、著作権侵害コンテンツを取り除く必要がないとの判決を下した。この事例は、著作隣接権管理団体のSPPFとYouTubeに関与している。たとえそれらのコンテンツが既に違法であると認識されていてもである。

英国、知財犯罪部門の立ち上げ

6月28日、ロンドン市警はデジタル環境における知財犯罪に焦点を当て、知財犯罪部門を立ち上げた。同部門は、オンライン著作権侵害、及びその他知財犯罪の取り締まりに専念するものであり、9月までには始動する予定である。