ICMPニュース vol.27 (2013年7月26日更新)

米国と中国、知財保護に注力

最近の米中戦略経済協議で、中国政府は同国内における偽造やオンライン著作権侵害に対する取り組みをより強化すると約束した。両国は、サイバー犯罪や知財権保護問題に関する協力強化についても議論を交わした。

WIPO、政府間委員会に遅れ

遺伝的資源、伝統的知識、民俗学に関するWIPO(世界知的所有権機関)政府間委員会における伝統的文化的表現の保護のための国際間の手段についての進展は限られたものであった。これは伝統的文化的表現の定義、その範囲ならびに保護することの利益について参加者間の合意がとれなかったためである。会議は7月24日まで開催。

TTIP最新情報

7月8~12日、EUと米国間のTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)に関する第1回交渉がワシントンDCで行われた。 両国の交渉官は実質的な交渉議論ができたとコメントし、10月にブリュッセルで行われる第2回交渉に向けて、良いスタートを切ったとした。第1回交渉では、市場参入、共通の規制、知財権の保護を含む取引規則について議論が交わされた。交渉官は2年以内にTTIPが完了することを望んでいる。

中国とスイス、FTA調印へ

7月6日、スイスと中国がFTA(自由貿易協定)に調印、2014年から実施されるとしている。中国の非常に高い関税は、減額になるか完全に免除となる。また、知財権保護についても同協定に含まれる。

台湾とニュージーランド、ANZTEC締結へ

台湾とニュージーランドは、ANZTEC(経済協力協定)を締結。台湾は地域経済統合への参加拡大という目的を果たした。

米国、裁判所がAereo再審請求を却下

米国裁判所は、同国放送各局から提出されていたAereo(米国ストリーミングTVサービス企業)は著作権法に反していないとした昨年4月の判決の再審請求を却下した。

アンティグア・バーブーダ、米国の知財権停止を開始

アンティグア・バーブダ政府は、米国の知財権停止を実行するために、委員会を設置。同委員会は、米国のオンラインギャンブル禁止に対する報復手段として許可されているWTOの決定に従うものである。

Googleの市場支配乱用を懸念

欧州委員のホアキン・アルムニア氏は、委員会の競争抑止的であるとの懸念に対するGoogleの譲歩が不十分であるとした。アルムニア氏は、Googleから数ヵ月前に送られてきた提案は我々の懸念を払拭するのに不十分であると結論付けた。

CJEU、ブランクメディアに課税可

7月11日、CJEU(欧州連合司法裁判所)は、加盟国が権利者への公平な支払いを提供するために、ブランクメディアの購入に対し私的録音録画補償金を無条件で課すことができると決定した。オーストリア最高裁判所は、アマゾンとオーストリアの著作権料徴収団体間の問題に関して予備判決を求めた。また、CJEUは先月、プリンターやコピー機も同様の課税対象であるという判決を下した。

欧州議会、CRM指令案を可決

7月9日、CRM(集中権利管理)に関して提案されたEU指令は、欧州議会の法務委員会にて全会一致で可決された。採択された場合、新規制は、オンライン音楽ライセンスや著作者と権利者への迅速な印税支払いを可能にするだろう。欧州議会は欧州委員会の提案を修正し、このような権利者への支払い期限を短縮し、集中権利管理組織の透明性を増やすなど、いくつかの改善を導入した。議論は9月に開始する交渉へと続く。

欧州、ライセンス進捗

7月4日、欧州委員会の業界協議「ヨーロッパのためのライセンス」の中間報告において、これまでの成果評価が行われた。委員会は、全般的に進捗状況に満足していたが、一方で、いくつかのグループに対してはより多くの作業が必要なことを強調した。このイニシアチブの目的は、欧州内におけるコンテンツライセンスに関する実務的な対応策を見つけ出すことだ。最終報告書を11月に作成予定である。ICMPは、2つの作業部会に参加している利害関係者の1つであり、その2つの作業部会とは、国境を越えたコンテンツへのアクセスと可能性、ならびに小規模ライセンスとUGC(ユーザー生成コンテンツ)である。

英国、新プラットフォームはライセンス供与促進へ

英国において、著作権ハブと呼ばれる新プラットフォームが試験中である。コンテント契約の情報を集中的に提供することにより、著作物のライセンス供与を促進することを意図している。プロジェクトの第2段階は翌年になる予定で、一層広範囲な諸組織と、権利管理情報へのアクセスを実現するとみられる。

フランス、スリーストライクを廃止

7月8日、フランス政府はHadpiの「スリーストライク」著作権侵害規則の廃止を発表した。

オランダ、Burma/Stemraが 歌詞サイト補償金徴収へ

7月8日、オランダの著作権管理団体であるBurma/Stemraは歌詞サイトのSongteksten.nlとインターネットで公表される歌詞に対する補償金について同意した。金額は毎月のページビューによる。

ノルウェー、ストリーミング音楽売上が17%増加

2013年、ノルウェーにおける音楽の売上は、ストリーミング人気に伴い、昨年に比べて17%増加している。これは、主としてSpotifyの拡大によってもたらされ、長期的な世界的傾向のようと考えられる。

音楽の消費習慣に関する2つの研究を発表

オランダのSpotifyによると、合法的なストリーミングサービス再生可能な楽曲は著作権侵害されることが少ないという。また、ストリーミングは音楽売上にマイナスの影響を及ぼさないとしている。
他方ノルウェーにおける新しい調査によれば、音楽の違法ダウンロードがここ5年間で80%以上減少した。Ipsos MMIによって発表された同報告は、著作権侵害の大幅な縮小は、合法的な音楽配信の拡大によるものとしている。