2016年3月15日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
著作権法の改正法案と言論の自由について
先送りになっていた著作権法の改正(デジタル配信についての文言を追加)が12月中旬に行われた立法会議の第二読会を通過しました。元々この改正案は2011年に採択されるはずでしたが、パロディ擁護派による強い反対意見により遅延していました。パロディ解除に関して2015年の初頭に問題になりましたが、延期になっていました。
しかし、パロディ擁護派は、UGC(ユーザーによって作られたコンテンツ)について更なる緩和の項目を追加要求しました。国内の有名な作詞家たちは公に、パロディ作品として楽曲を使用することを歓迎しています。著名な学者たちは、このパロディの除外を含む新法案の悪用の可能性を警鐘しています。実際に、大手音楽出版社でのキャリアがある人物は、政府が著作権の処理問題にあまり知識を持たないことを知っています。
そして法案の改正は今、重要な段階に差しかかっています。3月4日の立法会議を通過しないと、法案成立の申請を差し戻す必要があります。映画協会とレコード協会は、許諾者とネット住人両者に対して再検討をされなければならないと呼びかけました。また、別の懸案材料として、著作権法の改正は言論の自由を抑圧していると誤解している人が一定数いるようです。香港の弁護士会は、著作権法と言論の自由とは全く別の問題だとコメントしています。そもそも言論の自由を抑圧しようとするのであれば、著作権法を気にする必要はありません。さらに言うと、今回のパロディ除外を盛り込んだ著作権法の改正法案の内容が通ると、イギリスやオーストラリアの水準よりもさらに緩和されることになります。それにもかかわらず、一般のネット住人はパロディの問題よりもUGCに権利を主張しています。
TV Mostの権利処理について
著作権法改正問題の一方で、MPA香港はパロディコンテンツプロバイダ大手のTV Mostと協議しました。TV Mostは、国内のラジオ局とそのDJたち、作詞家たちによって立ち上げられた会社です。TV Mostのコンテンツの多くは政府などに対する風刺的なパロディ作品です。コマーシャル会社はパロディと関連付けた広告の営業をTV Mostかけました。TV Mostの公式発表によると、月間の広告収入は700万香港ドル(約90万USドル)に到達する見込みとのことです。これらの数字を見ても、TV Mostの事業規模は著作権法の改正案が通過するしないにかかわらず、フェアユースの適用範囲を超えており、CM使用における楽曲の許諾は得ることが望ましいでしょう。
MPA香港によると、音楽出版サイドは国内楽曲の使用についてTV Mostとのより簡単に権利処理をするプラットフォームについての構築について議論することを前向きに考えているとのことです。