2012年12月31日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
オンライン・カラオケの新サービス
最近のデジタル・マーケットは、双方向TV、パソコン、スマートフォンなどで新機種、新サービスが続々と登場し、多様化している。今や90%を越えるスマートフォンをはじめとするデジタル機器の一般普及に対応し、多数のオンライン・カラオケ業者は新しい端末への配信サービスを開始している。現在台頭して来たオンラインやモバイルのカラオケ配信の特徴は、SNSを通じて自分の歌っているカラオケをシェアできるというもの。また、配信利用者が採点するカラオケ・コンテストや特定曲への熱愛度の表示などもある。これに対し、レコード会社の見方は一様ではなく、旧譜のカラオケ曲提供に前向きな社もあれば、2000年代初頭に現れたインターネット・カラオケの失敗から新しいオンライン・カラオケの見込についても慎重に見るべきとする意見もある。
CASH、CRDを使ったサービス提供へ
CASH(香港音楽著作権協会)は出版社に対し、新版デジタル・ロイヤルティー分配データ・ファイルCRD(CRDは主要な国際団体・出版社により開発された共通ロイヤルティー分配システム)が完成し、より進化したデータ・フォーマットを各出版社のコンピュータ・システムへ転換できるようになったことを通知した。新フォーマットは、ライセンシー、ユーザー、使用形態、期間など、ロイヤルティー発生源に関するデータが従来より緻密になっている。CRDおよびCASHの新管理システム(2012年7月導入)をより深く理解するため、MPA香港は1月中旬にCASH担当者を招いて会員社向け説明会を開催する予定。
台湾
使用料率引き上げ見送り
当地では、著作権協会、MPA台湾、IFPI台湾がデジタル・ライセンス比率と全関係者間の分配率について協議をしてきたが、ストリーミング・サービスの使用料率8%(出版社・協会の各取分を合算)を12%に引き上げる案が提示され、議題となった。従来、デジタル分野は、使用料収入の50%が音楽コンテンツ分とされており、うち42%がレコード会社、8%が著作権協会・出版社へ分配されるが、国際出版社数社が彼らのグローバル戦略に従ってこれを12%に引き上げようとしているのだ。だが、現地レコード会社は、すでにカラオケ使用で多額の使用料を支払っている点、デジタル収入は最初にCDメカニカル許諾を受ける際に支払ったアドバンスの相殺に充当しないことに言及し、出版側に8%維持を求めた。カラオケおよびメカニカル初回収入に影響の無いため、ほとんどの出版社は、ストリーミングについて当面の8%維持に同意した。
中国
デジタル市場に活況が戻ってきたが
1年半にわたるチャイナモバイル社のミュージック・サービス集中プラットフォームの内部調整が済み、停滞していたデジタル・マーケットは新たなデジタル・サービス提供業者やコンテンツ管理業者が多数参入し、リバイバル活況を呈している。コンテンツ管理業については、以前、オンライン上で無許諾の音楽使用を監視し、その結果に従って使用者への許諾手続きを代行するサービスを行いたいとして出版社に接触してきた。また、中国全土にわたり監視・許諾を強化するために、各地方の監視・許諾サービス業者間に協力体制を作る意向もあった。これに対し、出版社はこれらのサービス業者が各地方の省境を越えて監視・許諾サービスを交換しあうようになると、サブライセンスの状況がコントロール不能に陥るのではとの懸念を持っている。