ICMPニュース vol.16 (2013年2月5日更新)

ファイルホスティングサービス問題

ボストンのノースイースタン大学の研究者が1月上旬に発表した調査によると、海賊サイトをブロックもしくは差し押さえるとすぐに、どこか別の場所に移動してしまうので、ほとんど有効ではないと発表した。
研究者はいくつかの人気のあるファイルホスティングサービスを通じて何千ものファイルを監視し、ファイルが除去されるとすぐに、DMCAテイクダウン警告のおかげでそれらは素早く移動してしまうことを発見した。さらにファイルホスティングサービスの状況は、アップローダーによってコンテンツが数百ものサービスに拡散されていることにより、より多様化している。
権利者にとってもより有意義な取り組みとは、支払や広告プロバイダを介してこれらのサイトの収益を生むことであると研究者は主張している。

Google「透明性レポート」について議論

Googleの著作権侵害を理由に、その検索結果からURLを削除するように要請があったものにつき、データを提供するという「透明性レポート」がメディアで話題となっている。
先月だけでGoogleは3000の著作権所有者や報告団体から、1300万件以上もの削除要請を受けた。大多数の著作権侵害の通告は適切なものであると判断に基づき、Googleは削除要請の90%以上に対応していると述べた。しかしながら、このデータにはYouTubeは含まれていない。
「これらの数字は、オンライン上の著作権侵害の規模と特に個人のクリエイターや権利所有者にとって、それとの闘いに関わることの困難さを強調している。警告を準備し、送付することは、非常に時間もお金もかかる。私たちは、権利所有者が利用しやすい通知やテイクダウンシステムへの効果的な法的枠組みを保証するよう、規制当局に要請する。そうすれば、アーティストの生計を深刻に破壊しているマスオンライン著作権侵害へ取り組むことができる」とICMP事務局長のGer Hattonは述べた。

アメリカとロシアがIPR Action Planに合意

12月21日、アメリカとロシアはIPR Action Plan (Intellectual Property Rights Action Plan)を含む、著作権侵害の対応について合意した。両者にとっての優先事項は、オンライン上の著作権侵害への取り組み、IPR施行業務の強化、法律制定の調整、情報の交換である。

各国の自由貿易協定状況

1月26日と27日、EUとメルコスール間で、自由貿易交渉の次の協議が行われる。一方、日本の新政府はTPPに参加するかどうか、更なる内部協議に従事すると表明した。マレーシアとオーストラリア間の自由貿易協定は、2013年1月1日に発効した。1月18日には、EUとインド間の自由貿易協定が最終段階に入り、今春までに交渉は完了する見込みである。2011年11月に設置されたUS・EUの成長に関するハイレベルWGは環大西洋間の交渉開始を了解した。

アメリカ、インターネットラジオ公正法案が休止状態

オンラインラジオサービスによって支払われる印税率の引き下げを目指す、インターネットラジオ公正法は 第112回米連邦議会において、採択されなかった。
しかしながら、この法案は2013年後半に再導入される可能性がある。

アメリカ、レコード会社がVIMEOに対し、著作権を主張

レコード会社は、ユーザー生成コンテンツサイト、VIMEOに対し、著作権侵害訴訟で略式判決を求める申し立てをした。最初の訴訟は、3年前に提出された。
VIMEOはthe Beatles, Coldplay, Norah Jones, Nat King Cole, the Beach Boysを含むアーティスト達によって録音された未編集のサウンドを複製し、上演し、配布しているとレコード会社は主張している。

アメリカ連邦取引委員会、Googleに対する調査終了

米連邦取引委員会は、Googleが検索結果にその優位性を乱用していたという疑惑に対する調査を終了した。 Googleは企業に自社のコンテンツが検索結果に含まれているかどうか選択することや、同社のオンライン検索広告プラットフォームの利用を解放することを許可する提案をした。

中国、Gougou 検索エンジン閉鎖

海賊版の音楽や映画で悪名高い、中国の検索エンジン、Gougouは、著作権侵害市場に関する米国通商代表部の 報告書に含まれていたことを受け、閉鎖された。
このサイトは米証券取引所の一つに上場が予定されていた、中国のインターネット会社、Xunleiによって運営されていた。
この閉鎖は、米国のブラックリストに載った後、中国ビジネスが知的財産への懸念に取り組んでいることを示している。

中国、オンライン上の個人情報を保護する決定を採択

2012年12月28日、中国の全国人民代表大会常任委員会は、オンライン情報の保護強化に関する決定を下した。
この決定の主要目的は、中国国民の個人的なオンライン情報を保護することであるが、実名を使用することをインターネット利用者に要求する身元管理ポリシーを含んでいる。

GEMAとYouTubeの交渉が失敗

1月11日、ドイツの著作権管理団体であるGEMAは、YouTubeとのライセンス供与交渉を中断し、仲裁裁判所に問題を提起すると発表した。GEMAとYouTubeは、クリック報酬型のストリーミング最低料金に関する交渉が難航していた。
またGEMAは、ドイツでブロックされている何千ものビデオに現れる表示について誤解を招く恐れがあるとしてYouTubeに変更することを要求している。

オランダ、個人的利用のためのダウンロードは合法

下院は個人的利用のために、許可されていない発信源からコンテンツをダウンロードすることを違法とする法案に反対票を投じた。
著作権所有者は、現在、ブランクメディアにかけられる“海賊税”によってダウンロードに対して補償されている。

イギリス、学校への著作権ライセンス供与を簡素化

CLA(The Copyright Licensing Agency)は、ナショナルライセンスの導入により、英国の学校へのライセンス供与をより簡素化する協定を教育省と作成した。
本、雑誌、ウェブサイトからの素材を合法的に複製するためには、学校はこのライセンスが必要となる。この協定は、学校がプリントミュージックを複製することを認めるMPA UKからのライセンス供与も含んでいる。