2018年2月28日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
ATV、MPA香港等と包括的ライセンス締結の準備
前回お伝えしたように、一旦閉鎖されたATVの再開セレモニーが1月29日に旧オフィスで行われました。このイベントにはさまざまなメディアやエンターテイメント界のエグゼクティブらが訪れました。このセレモニーで、ATVの新経営陣はVODやモバイルTVプラットフォーム開発という将来計画を発表しました。彼らのスタートプログラムのハイライトは、ゲームショーの「百萬富翁(ミリオネア)」と、インフォテインメントやバラエティプログラムです。2月下旬、ATVオフィスは包括的ライセンスの取決めを行うために、さまざまな著作権集中管理団体(CMO)やMPA香港とも話をしています。MPA香港は、ATVが自社の制作用途に向けたライセンス締結に対して積極的に取組んでいることを歓迎し、評価しており、同じ包括的ライセンスの提供により、ATVはより多くの出版社作品を使用できるようになるでしょう。
作品を利用しているにもかかわらず契約締結に積極的でないTV局等も
一方で、新たに結成されたFantastic TVと、その母体会社であり、現在リストラクチャリング中のCable TVは、香港音楽著作権協会(CASH)やMPA香港との交渉に対してますます積極的でなくなりました。Fantastic TVは、彼らの経営状態が依然として厳しい状況にあると主張しています。しかし、出版社の間では、Fantastic TVがかなりの数の作品を使用しているという懸念が高まり、Fantastic TVに対し、この問題に真剣に向き合うよう促しました。Cable TVは、かつては放送法で認められている一時的権利(最初の制作の後、半年間マスターを保管するもの)をうまく利用して、過去には出版社との映像録音権の締結を拒んでいます。しかし出版社は、一時的権利の条件は定めにある6ヶ月後にはマスターを破棄せよ、というものだとして非難しています。結局、Cable TVのプログラムの非常に多くが、最近になってFantastic TVにサブライセンスされることになりました。この行為は明らかに一時的権利に違反したものです。
中国
映画上映使用料未徴収について出版社等が懸念
さまざまな海外CMOや出版社が映画興行収入について懸念を強めています。国内映画や国際映画の多くが巨額の興行収入に繋がったことが知られるようになってきました。今のところ上映使用料徴収に関して政府発行のスキームは実施されていません。国家著作権局も中国音楽著作権協会(MCSC)も、映画の上映使用料についてはまったく手を出せていません。
レコード会社の作家への要求に国家著作権局が作家保護のコメントを公表
国家著作権局は、最近、一回限りの定額料金による著作権契約についてのコメントを公表しました。この発表は、国内レコード会社の多くが、一回限りの定額料金を支払うことで作詞家、作曲家にすべての権利を放棄するよう要求していることが原因にありました。国家著作権局は、作家が国内登録された演奏権協会のメンバーの場合、そのメンバーシップやその作家の演奏権契約書に基づいて、少なくともその歌の演奏権については作家自身の権利として保護されると述べました。これはまた、CISACが協会に対して行った、出版社はその歌の演奏権取分の半分を超える徴収を行ってはならないとする勧告とも一致します。この保護により、レコード会社やその関連の出版社との契約にかかわらず、作家は少なくとも彼らの演奏権取分については権利を持つことになります。