2018年10月31日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
MPA香港とCASHが3つの問題を協議
音楽再生サイトとの楽曲情報共有に必要なCASHへの迅速な新曲登録
MPA 香港とCASH(香港音楽著作権協会)のドキュメント・分配チームによるワークショップは、2018年1月の協議で提示された未解決の問題を議論、特に、ヒット曲の迅速な登録について検討しました。CASHが実際のロイヤリティ請求に取組むには、多くのデジタル音楽再生サイトと楽曲情報共有の必要があります。なぜなら、音楽出版社によっては海外でグローバルなライセンス供与をしており、CASHが権利行使できないものがあるためです。CASHは新曲登録に関する最新情報が不足していることを説明しました。残念なことに海外OPが取扱っている新曲の著作権について、リリースまでに音楽出版社側で共同出版社と解決できない可能性があります。
滞る権利競合の処理について音楽出版社から提案
一方で、解決済の権利競合に関してCASHが解決済の処理などを行えず、権利競合リストに載せたままの状態にしていることに懸念を示す音楽出版社もいました。これに対しCASHは「音楽出版社の返答を待って処理するシステムに問題があった」と主張。音楽出版社からは解決済の権利競合に返答する際は、電子メールの件名に「解決済」などの特定の見出しを付けることが提案されました。そうすることで、CASHはそれらの電子メールにフィルターをかけ権利競合を整理できるのではないかということでした。
CASHが楽曲名のローマ字表記での登録を推奨
登録問題に関しては、アジアの楽曲の中には標準的なローマ字で曲名表記した方が良いものがあると、CASHから助言がありました。これに対し音楽出版社からは、何年も前にCASHと音楽出版社全社の合意事項として、広東語の曲名のローマ字化には同じ公認辞書を使用することが確認されたことが指摘されました。それにより、ほとんどのローマ字曲名で同じ読み方ができるようになります。そのような見解から、音楽出版社は、1つの標準的な方法を使ったローマ字化が、他言語での楽曲登録に対するより良い解決になるだろうとの考えを示しました。それとは別に、CASHは音楽出版社に対し、提携する海外の音楽出版社や作詞家や作曲家をデータベースで識別できるようにするため、彼らのIPI情報が重要であることを伝えました。
ATV、HKTVが揃ってFantasticTVに番組供与
再開されて約1年になるATVは、Fantastic TV(Cable TVが株主)を利用して自局の番組をサブライセンス供与し、Fantastic TVチャンネルで放送してきました。ATVはほとんどの視聴者がいまだに従来のTV視聴者と重なっており、モバイルプラットフォームのデジタルアプリで配信するだけでは視聴方法の多様化が不十分だと自覚しています。
同様にHKTVも、最近、過去の自局ドラマシリーズの放送をFantastic TVにライセンス供与しました。この2つの局は、自局制作が低迷するFantastic TVとCable TVに助成を行っています。
中国
地元大企業が台湾、香港の音楽出版社等に著作権カタログの買収を打診
不明確な著作権所有、一貫性のない著作権使用許諾、または高額な独占ライセンス契約など多くの問題に直面している地元大企業の中には、台湾及び香港のレーベルや音楽出版社のいくつかにアプローチし、彼らの著作権カタログの買収を打診しているところもあります。音楽市場で大きなマーケットシェアを占めている標準中国語の台湾ソング及び広東語の香港ソングがいまだに数多く存在することが注目されています。しかし、アプローチを受けたレーベルや音楽出版社のほとんどが、自社のレパートリーを永久に売却してしまうことに乗り気ではありません。
タイ
MCT、分配の透明性把握のため初の分配小委員会を設立
MCT(タイ音楽著作権協会)は、ロイヤリティの分配方法について理事や会員がより透明性をもって把握できるように、初の分配小委員会を設立しました。CISACアジア太平洋事務所と同地域の音楽出版社は、協力して分配業務改善の助言を行っています。主な課題は、ユーザーからの報告データの不足です。MCTには、国内外両方の曲についてラジオプールを利用することが提案されました。判明している別の課題は、MCTが保留しているロイヤリティの分配のために、断続的な過去のデータベースを保管していることでした。そのため、処理に不要な追加作業が発生しています。委員会からは、MCTはアップデートされた最新データを使い、未決済期間を処理すべきとの提言がなされました。