スタンド
2007年1月21日(日)から25日(木)までの5日間にわたって「MIDEM2007(国際音楽産業見本市)」が開催され、MPAは、文化庁、JASRAC(日本音楽著作権協会)、RIAJ(日本レコード協会)、JAME(日本音楽事業者協会)、FMP(音楽制作者連盟)、芸団協(日本芸能実演家団体協議会)、JVA(日本映像ソフト協会)、FCA(日本音楽作家団体協議会)の後援のもとジャパン・スタンドを出展、日本の音楽や音楽業界を紹介するとともに、日本からの参加者にミーティング・スペースを提供するなどの活動を行ってきました。またこのスタンドは、日本のコンテンツの海外への輸出をより積極的に推進していくため、2005年よりJETRO(日本貿易振興機構)と共同で出展しています。
ジャパン・スタンドは、数百のスタンドが立ち並ぶMIDEM会場の中でもいちばんの目抜き通りに面した非常に立地の良い場所を確保しています。赤と白を基調に、壁面に大きく「JAPAN」と記されたスタンドは、道行く人々の注目を集めました。
この好立地のスタンドを利用して、大型ディスプレイでのプロモーションビデオ上映、日本音楽の試聴、ジャパン・ナイトPRイベントなど、さまざまなPRを行いました。また、多数設けられたミーティング・ペースは、日本からの参加者と世界各国からの参加者が商談する姿で連日大賑わいでした。
参加楽曲
MIDEM2007のジャパン・スタンドでは、MPA会員社から募った楽曲、ならびにジャパン・ナイト出演アーティストの楽曲、全21曲を収録したをCD2,000枚を配布しました。
また、スタンド正面のプラズマビジョンでのプロモーションビデオ上映、試聴機等でPRも実施しました。
カンファレンス
第7回国際音楽著作権ビジネス・セミナーライブ・ビジネスを幅広く取り上げる
第7回国際音楽著作権ビジネス・セミナー
ASIAN SESSION 「Take the A(sian) Train」
実施日 | 2007年1月22日(月) 15:00~15:45 |
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場所 | パレ・デ・フェスティバル Auditorium Esterel |
第7回国際音楽著作権ビジネス・セミナー(sarah助成事業)は、1月22日(月)にMIDEM2007会場内のオーディトリアム・エステレルで開催された。
これまでどおり、MPA、リードMIDEM社の共催で行われたが、今回はリードMIDEM社の企画運営での開催となった。このため、会場も500名収容と従来の3倍以上の広さのあるエステレルに移動、時間も午後2時30分から6時までの3時間30分におよぶ長時間の企画になった。
セミナー全体は、「ライブ・ミュージック・ネットワーク」と名付けられ、3つの「カンバセーション」と2つの「パネル・ディスカッション」が組み込まれるという構成。MIDEM2007の「パーソナリティ・オブ・ジ・イヤー」に選出されたモントルー・ジャズ・フェスの創始者、クロード・ノブがそのカンバセーションの一つに登場するなど、MIDEM2007の中では力の入ったイベントだが、客席は半ば程度の入りだった。
このセミナーでもう一つ注目を集めたのは、最初のパネル・ディスカッション「Asian Session-Take the A(sian) Train」。アジアといえばジャパン・スタンドしか存在しない時代が続いたMIDEMだが、ここ数年は、韓国、台湾、そして中国が国を挙げてのスタンド出展をするようになり、さらに、インド、シンガポールなども出展し、MIDEMでのアジアへの注目度は上昇し続けている。
このパネルもそのアジアへの関心の高さを反映して企画されたものだが、日本以外の国からはその期待に十分応える人選をすることは難しかったようだ。出席者は、キョードー東京事業7部BONGO・部長の都筑教至氏のほか、中国国際文化芸術公司総経理の江凌氏、韓国のポップチューン・プロダクションズ専務取締役のマーカス・J・オー氏、それにモデレーターのスチュワート・ワーシントン氏(英国ミュージック・マネジャーズ・フォーラム)。
都筑氏を除いては、ライブ・ビジネスの専門家とは言い難く、また、モデレーターもアジアのビジネスに知識が深いというわけでもないようだった。アジアでは一般に日本とそれ以外のマーケットの間の差が様々な点で大きく、その点に対する配慮が足りないと、取り上げるポイントに実は共通性がないにもかかわらず、各国に同じ質問を繰り返すことになる。今回もその傾向があったことは否めず、都筑氏の孤軍奮闘だけが目立つことになった。
この内容全文を掲載した報告書(日本語)をご希望の方は、MPA事務局まで
英文の報告書はこちらでご覧下さい。
「ライブ・ミュージック・ネットワーク」で行われたカンバセーション、パネル・ディスカッションは次のとおり。
* カンバセーション:シーン・モリアティ、チケットマスター社長兼COO(米国)
* アジア・セッション:Take The A(sian) Train
* カンバセーション:クロード・ノブ、モントルー・ジャズ・フェスティバル創始者兼CEO(スイス)
* Brands, Telcos and Live: Towards a New Customer
Pact?(ライブ・イベントとスポンサーの関係)スピーカー:ヌアラ・ドネリー、ミュージック・スポンサーシップ・02(英)、ジォフ・エリス、DFコンサートCEO(英)、ピーター・ジェンナー、インターナショナル・ミュージック・マネジャーズ・フォーラム事務局長(英)、デトレフ・コーネット、アンシュッツ・エンターテイメント・グループCEO、(独)、マイク・マシーソン、ケーキCEO(英)、クリス・スミス、クリス・スミス・マネジメント(加)、モデレーター:スチュワート・ワシントン、ミュージック・マネジメント・フォーラム(英)
* カンバセーション:ジョージ・クリントン、パーリアメント&ファンカデリック創始者、ザ・Cカンスピラッツィ・レーベルCEO(米)
※この事業は、社団法人私的録音補償金管理協会(sarah)の著作権思想の普及を目的とする共通目的基金から助成を受け、実施しています。
イベント
ジャパン・スタンドでは、MIDEM2007初日の1月21日(日)夕方、スタンドで「鏡開き」を実施した。MPAが行うセミナーやジャパン・ナイトをさらに効果的にPRする場所としても活用するため、また、昼間よりもくつろいだ雰囲気の中で気兼ねなく日本酒を味わってもらいたい、という理由から、夕方に時間をずらして実施することになったもの。
MPAを代表して渡邊美佐名誉会長が、視察に訪れた秋葉正嗣文化庁国際課長、中井毅JETROパリセンター所長、そしてジャパン・ナイトに出演するアーティスト全員とともに、「せえの!」の掛け声に合わせて鏡を開き、集まった観客に日本酒を振る舞った。開始前のアナウンスや、スタンド正面に運び込まれた大きな菰樽の珍しさも功を奏し、周辺は黒山の人だかりとなった。
鏡開きに続いては、翌22日に行うライブ・イベント「ジャパン・ナイト」のPRタイムとして、出演するMarie、カノン、小野リサ、藤原大輔(出演順)の4組が、一人一人順番に登場。各アーティストのプロモーション・ビデオや楽曲を流しながら、それぞれ約5分間ずつインタビュー形式でプロモーションを行った。スタンド前は日本酒を飲みながら各アーティストの話を興味深そうに聞く人でごった返した。
またスタンドでは、今回もコンピレーションCD2,000枚を制作・配布して日本の音楽をPRした。MPA会員社からあらかじめ募った楽曲とジャパン・ナイト出演アーティスト4組の楽曲、計21曲を収録したCDは大変な人気で、会期終了を待たず配布を終了した。この他、試聴機3機の設置、大型モニターでのプロモーション・ビデオを上映するなどして、日本の音楽を広くPR。このほか、海外でも大人気の日本のアニメーションとその音楽をPRする「ジャパニメーション・ミュージック・プレゼンテーション」コーナーも設け、フライヤーの配布、アニメ映像と音楽の相乗効果で、来訪者の関心を誘った。
Japan Night
MIDEM2007 ジャパン・ナイト
実施日 | 2007年1月22日(月) 18:00~21:00 |
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場所 | フランス・カンヌ・マジェスティックホテル |
日本の多彩な音楽が満員の聴衆を魅了
今年で41回目となる音楽見本市、「MIDEM(国際音楽産業見本市)」が、フランス・カンヌ市のパレ・デ・フェスティバルにおいて、今年も1月21日(日)から25日(木)までの5日間にわたって行われた。2005年からJETRO(日本貿易振興機構)と共同で実施しているライブ・イベント「ジャパン・ナイト」。今年も聴衆400名以上を集め大成功を収めた。
個性豊かな4アーティストが出演
ジャパン・ナイトは、22日夜、MIDEM会場正面に立つマジェスティック・ホテル内の「クロワゼット」という大広間で行われた。
この日のために制作したインビテーションカードは、あらかじめMPAの国際委員や、MIDEMに参加する日本人参加者などを通じて配布されたほか、前日にジャパン・スタンドを訪れた人々に配布された。また、ライブ当日は開催を告知する大きなポスターをホテル入口にも掲げ、道行く人々にアピールした。
今年の出演はMarie(J-POP)、カノン(Classical Crossover)、小野リサ(Bossa Nova)、藤原大輔(Electro- Jazz)の4組(出演順)。会場入口のテーブルには各アーティストのCDやフライヤーなどを、入場時に手に取ることができるよう並べて配置された。また、入口ではMIDEMの女性スタッフ2名が入場者のパスに印刷されたバーコードを読取りながら、入場者一人一人にプログラムを手渡した。
開演時間の18時を少し回り、司会者が集まった聴衆にこのライブの趣旨を説明した後、いよいよライブの幕開けである。「もっとステージの近くにいらっしゃい!」とあおると、聴衆はわれ先にとステージ前に押し寄せてきた。
一番手はMarie。彼女は、自主制作で既に7枚のCDを発売、地道に活動を続けているアーティストだ。Marieはキーボードの弾き語りで「Thalia」、「Sakura-Cherry blossoms-」、「Sunrise Sunset」、「Can’t Stop the Music」、「It’s Okay」の5曲を歌った。若々しく力強い演奏と歌で会場のムードを一気に盛り上げてくれた。
続いて真っ赤なロングドレスで登場したのはカノンだ。音楽大学の声楽科を卒業後、ライブ活動で培ってきた実力と流暢な英語のMCに加え、みずみずしく透明感のある歌声で会場を魅了。途中、キーボードの弾き語りを交えながら、「Brand New Breeze」、「Loving Grace」、「The Power」、「Gloria」の4曲を披露した。
そして3人目のアーティスト、小野リサが、ひときわ大きな歓声と拍手で迎えられた。日本での人気はもとより、近年、特にアジアでの人気が高まっており、この日もステージ下の一番前の列にはアジア各国からのMIDEM参加者が多数詰め掛け、嬉しそうな顔で聴いている姿があった。小野はサポート・メンバーの有田純弘とともに「Samba de verao」、「C´est si bon」「Jambalaya」、「Ti Guardero’nel cuore(More)」を演奏。最後に日本の童謡「ふるさと」を歌い、「音楽の旅」を締めくくった。
ライブのラストは、ジャパン・ナイト3回目にして初の男性アーティストである藤原大輔が飾った。これまでの様子とは一変、ステージ上にたくさんのコードがつながれたシンセサイザー等の機材が並べられた。今回のパフォーマンスは、ジャズとテクノを融合した「quartz-head」としてのパフォーマンスである。藤原はテナー・サックスを演奏するかたわら、サポート・メンバーとともに自らもエフェクターを操作して「do not open my refrig」、「afro bleeps now」、「cannes session ‘07」の3曲演奏。集まった聴衆は、会場全体に流れるテクノ独特の音の波に身体全体を揺らして演奏を楽しんでいた。
左からMarie 、カノン 、小野リサ、藤原大輔
ライブの興奮冷めやらず、歓談は遅くまで
20時。全てのパフォーマンスが終了し、改めてアーティスト全員がステージに登場してあいさつをすると、場内からは一斉に拍手と歓声、口笛が飛び交った。このあとは出演者全員と集まった聴衆とが直接歓談する時間が設けられ、ステージを降りてきた各アーティストの周りには、興奮した面持ちでライブの感想を語る人、テレビやフェスティバルへの出演の企画を持ちかける人などでごった返し、歓談は遅くまで続いた。このジャパン・ナイトの模様は、2月3日(土)午後6時10分からのNHK・BS-1「週間シティー情報」の中でも紹介された。