2020年6月30日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
コロナウイルスの症例の減少と回復傾向にあるビジネス
5月以降、コロナウイルスの症例は減少しており、連続して何日もゼロだった。徐々にレストランや多くの店が営業を再開した。ほとんどのホテルは、国内経済の促進のための宿泊条件を国民に対して設定している。海外からの入国者に対しては到着して14日の隔離期間を経過してからでないと受け付けないと明記している。市民が週末には自宅待機から解放されて外食したり、娯楽施設を利用して過ごすことができて経済的にも大成功だった。旅行業界は、この回復しつつある経済の動きを見て、多くの旅行プランを作成している。ホテルや一部の小売業部門で再開しているビジネス状況を見ると、航空会社やカラオケなどの一部のビジネスはまだだが、演奏権収入は少し回復傾向にある。
ウイルス問題が変えた音楽ビジネスの収益システムの新しい標準
さらに、ウイルスの問題は音楽ビジネスの収益システムを別の新しい標準に変えている。2019年後半からの長期の社会不安により、すべての主要なライブ・コンサートが延期されたり、無期限保留になった。4月には、何人かのポップス歌手がライブ・ストリーミングを開催して、地域社会を元気づけ、さらにミュージシャン、ダンサー、ステージ制作スタッフをサポートした。従来のようなコンサートを開催することは、ここ数年では不可能かもしれないが、いくつかのコンサート主催者はバーチャル・ライブコンサートを計画している。出版社としては、この状況を調査し、このライブでの楽曲使用はシンクロ許諾が必要であり、ライセンスの処理をする必要があると考えている。
CASHが基金「Music Alive」を立ち上げ
5月上旬、CASHは「Music Alive」と呼ばれる基金を立ち上げ、各作家に対し5,000HKドル(約630ドル)の資金を提供することにより、会員作家をサポートした。これは業界でも大きなトピックとなり、作家たちの新曲作成、演奏する機会を増やすいい刺激になった。
中国
国立著作権局がライセンス料金についての懸念を提起
国立著作権局は、主要なデジタル・ビジネス業者から苦情を受け、複数の出版社が課す高いライセンス料金についての懸念を提起した。許諾条件の一つでは、1億元(US1400万ドル)を超える額を提示されたと報告され、その取引は成立せず、国立著作権局に苦情として報告された。著作権局は、出版社に対し間接的に警告し、さらに混乱が生じる場合は、ライセンス料金を管理するための新しい規定を設ける必要があるとした。
東南アジア
デジタル音楽マーケットの成長に対応するための協力体制を模索
いくつかの東南アジアの著作権団体は、地域におけるコロナウイルスの影響を鑑み、デジタル音楽マーケットの成長に対応するための協力体制を模索するためにビデオ会議を開催した。大きな市や国全体の規模での閉鎖により、演奏権収入見積は30~40%減少となった。したがって、著作権団体は演奏権収入の低下を埋め合わせるために、デジタルや他のソースからの収入を期待している。前述した香港の報告と同様に、ライブ・ストリーミングが主なトピックになっている。さらに、映画やドラマの配信サービスが好調に推移している。これらの新しいライセンスのすべては、シンクロ権の許諾処理が必要なため、地域の著作権団体は出版社と共同して、ワン‐ストップでライセンスできることを期待している。出版社も同じ見解だが、権利者に対し徴収-分配作業を適切で確実にするために、実務的な書類、処理の手順の具体的な解決プランを整備する必要があるとした。