WIPOで著作権委員会開催
11月19日から23日まで開催された第25回・著作権等常設委員会(SCCR)の最終日、代表団は視聴障害のある人々のための著作権に対する例外問題についての草案を採択し、来月のWIPO特別総会にこの草案を送ることで合意した。同特別総会では2013年に外交会議開催か否かを決定する予定。
SCCRは更に2013年下半期に中間会議開催の可能性を含め、図書館とアーカイブについての例外および制限についての国際文書に引き続き取り組むことを決定した。
自由貿易協定についての最新情報
11月26日に日本とカナダは、東京で第1回目の自由貿易会談を行った。二国間自由貿易協定(FTA)は、両国の関税障壁を撤廃することになる。
一方、EUは数週間以内にカナダとの自由貿易協定の交渉を締結する予定であるとし、日本との自由貿易協定交渉開始を承認した。
また、EUは貿易関係を改善するために米国との経済成長に関する作業部会にも取り組んでいる。今年末までにその調査結果を公表する見込みであり、自由貿易交渉に繋がるかもしれない。EUが現在自由貿易協定を交渉している他の国々は、シンガポール、インド、メルコスル(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国から成る共同市場)、マレーシアおよびベトナムである。それぞれの自由貿易協定において、権利者に重要な事は、各交渉における知財への言及と保護である。
米国とヨーロッパで132のドメイン・ネームを逮捕
11月26日、米国とヨーロッパの法的執行機関は、違法にオンライン上で偽造品を販売したとして告訴された132のドメイン・ネームを逮捕したと発表した。逮捕された132のドメイン・ネームは、サイバーマンデー3・プロジェクトおよびトランスアトランティック・プロジェクトが功を奏した結果である。
米国移民税関捜査局がクリスマスに向けて米国で最もオンライン・ショッピングが盛んになる日に、知的所有権を侵害するウェブサイトに対して、対策を取り始めてから3年目となる。
インターネットラジオ公正法に対するキャンペーン
先週、現在提案されているインターネットラジオ公正法案に関するインターネットラジオ使用料について、米国連邦議会で公聴会があった。
オンライン・ラジオ用に印税率を設定するシステムの変更が議論され、何人かの参加者は、地上波のラジオ局も録音使用料を払うべきであると主張した。
議員たちの問題意識を高めるキャンペーンの一環として、NMPAはインターネットラジオ局がいかに安い使用料しか支払っていないかを示すため、ソングライターのデモンストレーションを実施した。
NMPA理事長のDavid Israeliteは、「法案にはインターネットラジオがアーティストやレーベルに支払うべき使用料の総額を事実上減らすことになる問題のある項目が含まれている」とし、全てのミュージシャンのために協力するよう、音楽業界に呼びかけた。
タンザニア、ザンジバルで知財保護についての宣言
ザンジバルでのアフリカ地域知的財産機構(ARIPO)の会議において、関係者は地域の知的所有権の保護への 責任について、宣言した。
会議には、WIPO、EUおよび東アフリカ地域の代表者が参加した。
文化協力について、EUと中国が共同声明を採択
Androulla Vassiliou、EU委員長(教育・文化・多言語・青少年担当)は11月30日、中国の担当大臣とEU-中国間の文化協力について、共同声明を採択した。
2012年は、EU-中国間において異文化間対話の年であり、今年初めに両国は、異文化への理解を深めることを目的とし、ハイレベルでの対話を行った。
ICMPがインターネット環境の更なる改善を要請
ICMPはインターネットを利用する子供への保護を強化するために考案された新たな取り組みについて、全面的に支援するとし、インターネットが全てのユーザにとって安全な場所であることを保証する為の強力な措置を要請した。
11月20日に欧州議会はオンライン上の違法または有害なコンテンツへの対処やオンライン上のリソースを利用する際のリスク軽減について、EU各国へ新たな取り組みを推奨する決議を採択した。
また同じ週、EU委員(デジタル問題副担当)であるNeelie Kroesと米国国土安全保障長官のJanet Napolitanoは共同声明に署名し、子供たちのためにインターネットをより安全で、より良い場所にすることを誓約した。
「同じ週にこれら2つの決議がなされたという事実は、子供たちだけではなく、全ての人々が検索し、学ぶことができる安全なインターネット環境の重要性を示すものである」とICMP事務局長のGer Hattonは述べた。
国際的なデジタルの世界で活動している音楽出版社として、ICMPは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は、各々のサーバー上で利用可能にされているすべての違法なコンテンツを監視し、それを削除するか、利用できないようにするための措置を取るべきであると考えている。
文化とクリエイティブ部門の支援を表明
11月26日、EU委員(デジタル問題副担当)であるNeelie Kroesは、欧州議会の文化委員会で演説を行った。その内容はクリエイティブ産業の重要性を認識し、アクセス可能なコンテンツを増やすため、より多くのことがなされるべきだというものであった。
また著作権についても触れ、クリエイターのために稼働するシステムを望む一方、更なる厳しい強制措置を取り続けることは難しいと述べた。
「クリエイティブ部門を支援する最善の方法は、デジタルインフラを提供することである。そのネットワークと体制はデジタル社会を支えるだろう。そのようなインフラを提供すれば、驚くべき技術革新につながるだろう」とも述べている。
創造と技術革新を支えるため、著作権は現代的かつ効果的な手段であると同時に、国境を越えて、質の高いコンテンツへのアクセスを可能にする手段であるべきだとICMPは信じており、新しい無償の商業サービスの 開発のために、著作権が弱体化されるべきではないと考えている。
オーストラリア政府が早期のACTA批准を要請
オーストラリア政府は法律改正委員会の著作権法見直しが完了しなくても、偽造品取引防止協定(ACTA)への批准を進めると表明した。
オーストラリアは昨年、7ヵ国と共にACTAに合意した。
フランス、放送規制機関がネットの中立性について、例外措置を提案
11月26日、フランスの放送・通信規制機関であるCSAは、ネットの中立性への文化的な例外を設けることを提案した。これは、フランスにおいてオーディオ・ビジュアル作品に貢献しているインターネットサービスプロバイダには、優先的なバンド幅を与えられるというものである。同提案はCSAの対政府提案の一部である。
ドイツ、著作権侵害コンテンツを広める有害サイト利用者に差し止め命令
ドイツの裁判所はRetroShareの利用を介し、ネット上で著作権侵害を助長している某インターネット利用者に対して、差し止め命令を出した。
RetroShareとは、利用者がプライベートファイルを共有するネットワークを作成することができるアプリである。同利用者はRetroShareのネットワークで共有している全てのファイルは暗号化されているため、そのようなファイルを転送していることに気づかなかったと主張している。
オランダ、ダウンロード禁止を再提案
オランダ政府は議会で、不正な送信元からダウンロードされたファイルを民法上違法とする法案を再提案する。法案は昨年すでに議会に提案されたが、強く反対になったものである。
スウェーデン、版権のあるコンテンツへのハイパーリンクについて注目
スウェーデン控訴裁判所は、版権のある作品へのハイパーリンクは、その作品を一般大衆に伝達する事になるのか否かについて明確にすることを求め、欧州司法裁判所へ質問している。
この照会は某ビジュアル・アーティスト、及びモニタリングやメディア分析サービスを提供する某会社が関わる事例に関連している。
イギリス、Ofcomの報告
イギリスの通信産業取締機関である、Ofcomは、イギリスにおけるメディア消費習慣についての報告書を公表した。このデーターによると、イギリスのインターネット利用者の8%は不正な発信元から音楽をダウンロード、またはストリーミングしている。
これとは別に、Ofcomは公共のWi-Fiのプロバイダーが著作権侵害対策規約で定められた“警告して、削除する”システムに含まれるかどうかは、インターネットサービスプロバイダーの判断に任せると述べた。
欧州委員会
12月6日、ブリュッセル
欧州委員会(EC)は早急な対応を必要とする6つの分野について、以下の通り発表した。
6つの分野とは、コンテンツの国外利用の可能性、UGC、データーとテキストマイニング、私的録音録画補償金、映像作品へのアクセス及び文化遺産である。
関係者の協議やインパクト評価を通じて各層に亘る討議は、2013年前半に開始予定で、その結果を受けて委員会は新提案をする予定である。
同委員会は又、市場における縄張の問題、著作権に対する調和・制限・例外の適切なレベルの合意、2014年に立法改正案を提出するか否かの決定を視野に入れた広範な著作権改正案の権限強化の合法性を如何に改善するか等の諸問題についても検討する予定である。
この一環として、Michel Barnier(内部市場とサービス担当)、Neelie Kroes(デジタル問題担当)、Andoulla Vassiliou(教育・文化・多言語・青少年担当)から成る、調査特別委員会が設立され、知的財産権全般について協議する。
欧州委員会の発表にたいし、ICMP事務局長のGer Hattonは「著作権はクリエーターの支援や技術革新を向上させるため、近代的で効果的な手段であるべきであり、委員会が今後の方向性を決める前に、現在の問題点について理解するため、 様々な関係者と議論するのは喜ばしいことである。しっかりとした著作権の基礎があれば、クリエーターと著作権保有者両方の基本的な権利を尊重しながらも、作曲家や作家は自らの仕事で生きて行く事ができる」と述べて歓迎した。
20年以上欧州においては、デジタル経済が主要な牽引役を担っており、今後はEU全体のGDPよりも7倍以上速い成長率が見込まれている。