2022年2月28日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
コロナウイルス感染拡大第五波の影響
コロナウイルス感染拡大第五波は、1月上旬より政府が多くのコンサート会場を閉鎖しソーシャルディスタンスを置く政策を強化したが、2月下旬には感染者ゼロから1日34,000人の感染者を出す、逆境を生んだ。また、大手テレビ局やラジオ局にも影響が及び、アーティストやDJの感染者が増えている。TVBは早速、当面の間全ての制作を停止することを発表した。政府は小売店を閉鎖させていないが半数の小売店やレストランは3月中旬まで営業停止を決めている。予定されていた全てのコンサートは無期限に延期となった。回復基調にある経済も大きな打撃を受けることが予想される。
このような経済状況の悪化に対処するため、政府は新たなデジタル商品券配布による経済活性化策を発表した。この制度は、昨年、小売業の景気浮揚に成功した。新制度では、地域住民に1万香港ドル(1,280米ドル)を4月と今年中旬の2回に分けてそれぞれ支給する。
「2014年著作権法」修正案に意見書を提出
MPA香港は、2014年著作権法の修正案に対して、政府に意見書を提出した。出版権利者の主張ポイントは、風刺、風刺画、パスティーシュ(模倣)ではなく、パロディのみに範囲を絞る「パロディ例外」である。さらにMPAは、パロディの例外が広範に及ぶと抜け穴が生じるという出版社のビジネスに言及した。また、MPAは、著作権期間を現行の50年から70年にするよう働きかけている。MPAは、香港ポップスの黄金期は70年代から始まったと述べ、80年代、90年代に亡くなったソングライターもおり、彼らの作品は今後数十年のうちにパブリックドメインとなる予定であると述べた。さらに、MPAはセーフハーバー条項について、コンテンツを正確に特定しない事業者にこの規定が認められると、抜け穴が生じる可能性があるとコメントした。MPAは、法案が2014年に起草された時期には、YouTubeやFacebookなどのプラットフォームでユーザーがアップロードするコンテンツがそれほど大量ではなかったことを明言し、これらの事業者は受動的にITサービスを提供し、ユーザーが作成したコンテンツから商業的利益を得ていなかったことを述べることが望ましいとした。
中国
広東語コンテンツを増やし開かれた中国をアピール
文化部は、現地のテレビ制作会社に対して、現地の全てのオーディオビジュアル作品に少なくとも1つの広東語作品を含めるか、1人の広東語アーティストを出演させることを奨励すると発表した。政府は、作品に広東語のレパートリーを増やすことで80年代に多くの歌や映画が香港から輸入されていた時代に重ね合わせ、中国が多くの音楽や映画に開かれていることをプロモートする意図がある。
フィリピン
事業者と権利者間の権利処理プラットフォームの提供交渉が決裂
FILSCAPと地域の出版社は、主要な国際的な視聴覚ストリーミングサービスに対して、演奏権とメカニカル・ライツの両方をカバーするより容易なライセンスプラットフォームの提供を進めてきたが、大手事業者が非常に低いレート1.5%(東南アジア諸国のほとんどが採用している2.5%に対して)を提示して突然交渉を打ち切った。これに対し、FILSCAPと出版社は、東南アジアの業界標準の料率を参考にすべきだと強く反発した。
タイ
昨年に続きオンライン出版社フォーラムを開催
昨年12月に開催した第1回オンライン出版社フォーラムに続き、3月にも出版社の役割を紹介するフォーラムを開催する。このフォーラムに地域の作家の参加を促し、音楽出版社の国際的なネットワークや、出版社がどのように作家や出版社の作品管理を支援し、作品をより多くの機会で活用できるかについて紹介する。