ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia) 2015年7月22日付

2015年7月22日付

ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)

香港

国内における著作権に対する意識

3月上旬、作詞家団体がソーシャルフォーラムの場において、彼らの作詞を用い て商品化された製品がバザーで販売されていると不満を口にした。製品の一つであるタオルはHK$100 (US$13)以上で販売されており、作詞家達の多くはCDがタオルよりも安く販売されていることに対し、不平の声を上げている。この問題は様々なメディアで取り上げられており、このことについてMPA香港はラジオインタビューにて著作権やロイヤルティ、ライセンスがどのように取り扱われているのかについて説明を行った。インタビューでは、一般の人々の間では著作権は高価なものであり、自分達とは距離のあるものという印象を持っていることが分かった。

正しい著作権保護とロイヤルティシステムの必要性について

MPA香港はHK IPD (香港知的所有権部)と4月26に行われたWIPO dayにおいて ”Get up, stand up. For Music”というイベントを行った。ここでは知的所有権という観点から、音楽が文化の発展や経済成長を促進させる事が出来るかということが大きなテーマとなった。また同時になぜ広東の音楽は低迷をしているのか、またどのようにして国内の産業、独自の文化を守り、発展させていくのかという取り組みが行われた。70年代から90年代にかけては広東音楽が東南アジアにおいてTVや映画の成功と共に中国のコミュニティーを引っ張ってきていたことは広く知られている。
MPA香港は正しい著作権保護やロイヤルティの管理システムなくしては海外の市場と競争力を保っていくことは難しいと述べている。MPA香港はデジタルメディアに対してより強固な保護を要請しているのと同時に、モバイルプラットフォームが著作権者によってより簡易的な著作権手続きとなるべきだと考えている。 またその一方で、ライセンサーは配信業者との許諾業務を効率化することで合法的な使用許諾を奨励し、著作権者や利用者にとっての管理業務をより削減すべきだと主張している。

中国

国内音楽出版社の活動状況

4月中旬、北京にて出版社集会が開かれた。この会議のメインテーマは著作権保護期間の延長及びカラオケと映画におけるライセンス問題についての議論を行うためのものであった。カラオケでは、出版社はミュージックビデオにおけるレコード会社のライセンスはアルバムセールスのプロモーション活動に制限するべきだと考えている。また映画のシンクロナイゼーションライセンスにおいては、ライセンス規定の中にもっと厳しい制限を課すべきだと言われており、例え映画制作会社が実際の条件に全て従わなかったとしても、少なくとも出版社はある一定の権利をきちんと保護されるべきである。
著作権保護期間の延長について、出版社は保護期間延長に向けた活動を開始するために著作権関連機関と議論を始めている。著作権関連機関との最新の議論によると、まだまだ著作権問題で改正していかなければならない問題が多い中で、著作権保護期間の延長は短期的に結論を出すテーマではないと言われている。

ライタープロフィール
j-ho

ジョナサン・ホ
香港を拠点とし、1986年から音楽業界で活躍。1998年フジパシフィックミュージック東南アジア支社長。2007年から香港著作権管理協会(CASH)理事、香港音楽出版社協会会長。東南アジア地域の音楽出版社の集まりであるアジア音楽出版社協議会(AMPs)理事長でもある。