2014年12月16日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
香港TVのモバイル市場参入について
昨年の香港の放送協会からの無料配信ライセンスの取得失敗の後、香港TVは11月中旬にモバイル端末向けの配信サービスを開始することを発表しました。香港TVは、モバイルTVをより魅力的なものにするために小売マーケットへの参入も発表しました。この新規事業拡大のために、ストリーミングサービスに関わる権利交渉と、TVシンクロナイゼーションの包括許諾について、MPA香港や、様々な管理団体と速やかに進める必要があります。また、香港TVはYou Tubeで初の番組を開設し、さらに10以上の新しいモバイルチャンネル開設がペンディングの状況です。香港TVはモバイルサービス充実のためにドラマシリーズの制作も推進しています。
その一方で香港放送協会は、無料配信ライセンスの見直しの時期を迎えています。ATVは長きに亘って定期的な再放送ライセンスについて異論を訴えていました。ATVは低視聴率によって深刻な赤字を抱えています。この危機的な局面において、香港、マカオ、中国本土からの企業がATVの買収に関心を持っています。再放送の配信ライセンスのために、新しいオーナーと事業再編を発表するのではないかと憶測が飛び交っています。
長引く「オキュパイ・セントラル」の影響
「オキュパイ・セントラル」(中環地区を占拠せよ)と呼ばれる政治運動は、2014年9月28日を以って正式に開始され、主要な道路が占拠されました。時折、香港のプライムビジネスのエリアや繁華街でも対立が見られました。この現状を受けて最高裁は、道路の占拠や、看板の撤廃を命じました。しかし、撤退の様子はまったくありません。これを機に、香港の法的機関のまだ見えていない問題も浮き彫りになるでしょう。長引く政治的不安は、景気にも大きく影響を及ぼしています。演奏権使用料の徴収も減少傾向にあります。(注:2014年12月15日撤去された)
中国
中国の音楽出版社のアップデート
9月中旬、主要な音楽出版社が集まって非公式の会議を行いました。中国国内の音楽出版ビジネスの成長のためにも、香港や東南アジア諸国でキャリアのある音楽出版社との提携を望んでいます。これには大ヒットのタレントショー「Voice of China」のプロダクションや、EE Mediaや、H brothersといったメジャーなレーベルも参加しました。昨今の中国での著作権法の性質上、業務の提携は依然としてデリケートな課題です。それ故に参加者ははっきりと言及はしませんが、国内外の出版社同士で、お互いにさらに強いパートナーシップを作っていくことを望んでいます。 Voice of China の主催者などは、より良い方法を見出すために、彼らのビジネスモデルを共有しました。音楽出版社側は権利の必要性と、活用の仕方を説明しました。
一方で、音楽出版社らは徴収団体MCSCとのミーティングを設けました。両者は、情報交換と協力方法について意見を交わしました。MCSCがサンプリングと、宙に浮いてしまっているファイル共有について意見を述べたのに対して、音楽出版社側は放送のロイヤルティの分配について触れました。
インドネシア
新システムDIVAの導入について
2年に亘る協議の後、CASHは新しい徴収団体であるWAMIがマレーシアのMACPのサポートを受け、CASHのシステム「DIVA」の導入に成功したことを紹介しました。MACPの支援によって、マレーシア国内で人気の高い、インドネシアンミュージックのレパートリーを拡大できることになります。その上、MACPはDIVAのデータベース内に履歴を保全することができます。インドネシアのWAMIは台湾のMUST、中国のMCSC、マレーシアのMACP に次いで5番目にDIVAシステムに参入しました。これにより、最新のデジタルライセンスのプラットフォームをさらに簡素化できることでしょう。