2014年10月16日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
アジア・デジタル・イニシアチブ会議について
7月13日・14日に、東南アジアの演奏権管理団体が、香港のCASH主催の、「アジア・デジタル・イニシアチブ会議」のために香港に集まりました。この会議は、CASHが2012年から東南アジア諸国に広く働きかけて、iTunesのライセンスプラットフォームをさらに強化するために行われました。iTunesでの成功を見ると、音楽出版社や演奏権管理団体は、この地域におけるデジタルライセンスをより網羅的にするように、考慮し始める時期にあると言えます。新しいライセンスのプラットフォームは、デジタル配信業者に、簡単でわかりやすく、正確で包括的なロイヤルティプロセスに焦点を当てていきます。
演奏権管理団体の多くは、多くのデジタル配信業者がワンストップライセンスが刺激となってこの地域に参入する結果、より多くの収入をもたらすので、歓迎する姿勢です。音楽出版社は作家と海外の出版社にロイヤルティを正確に支払うため、プラットフォームの推進に協力的です。
また、CISAC東南アジア支社は、成長中の東南アジア圏の管理団体が権利者を保護し、協力して相互の権利を管理していくために、デジタルライセンスのプラットフォームがその役割を担っていくことに期待しています。CISAC東南アジア支社は、友好的な関係を維持するために、音楽出版社と演奏権管理団体の間でもミーティングを行いました。音楽出版社はまず、COMPASSとiTunesの長期にわたるロイヤルティ問題について議論しました。同時に、著作権使用料分配の透明性、特に放送使用料の支払いプロセスについて議論するために中国の演奏権管理団体MCSCと協議しました。
台湾
パロディ作品の著作権使用料免除について
7月の記事で述べたとおり、著名な作詞・作曲家と音楽出版社の関係者が立法議会の会場に押し寄せました。パロディ作品の著作権使用料を免除するという政府の主張に真っ向から対立し、定員300人の会場におよそ500人の作家や音楽出版社の関係者が詰めかけ、さらに200名が会場を取り囲みました。皆、パロディ作品の著作権使用料免除に対して強く反対しました。
この台湾での騒動は、何の支援もなく音楽出版社が立ち上がり戦う姿勢を見せた香港のケースとは対照的です。台湾人の作詞・作曲家は、パロディの存在自体は認識していますが、気にしていないと主張します。しかし、明確に使用料を免除するという法律を敢えて作ることに対しては、批判的な姿勢です。作詞・作曲家はいくつかの潜在的なリスクを例に挙げてパロディ作品についての問題提議をしました。例えば、宗教などの慎重に取り扱われるべき問題と一緒に自身の作品が使用された場合、著作者である彼らも宗教問題の巻き添えになる可能性があります。著作者の身の安全を守るためにも、著作者の承認なしに作品をパロディ化されるのは問題であると主張しました。更に、作詞・作曲家たちは、政府が若い世代への道徳教育を怠った点を非難しました。著作権者の知的財産権の保護には費用をかけずに、パロディ作品の使用料免除によってさらに期待を裏切ることになりました。
中国
The Voice of Chinaの募集範囲拡大について
2014年春に放送したタレントショーの“I am Singer”の大成功の後、“The Voice of China”はシーズン3に突入し、6月の公募を開始しました。今回の募集は香港、台湾、マレーシアといった中国人が多く在住する地域にも範囲を広げました。ブラインド・オーディションが7月の終わりに始まります。今シーズンは前述の3カ国から更に多くの参加者が見込まれます。
シンガポール
iTunesストアとの契約手結について
大手の音楽出版社とCOMPASSは、2012年6月からの未払い使用料についてシンガポールのiTunes ストアとの仲介契約締結にようやくこぎつけました。この契約は、音楽出版社と業界団体の友好的な関係だけでなく、デジタルライセンスについてより協力していくという姿勢も意味しています。