2014年8月15日付
ジョナサン・ホ(フジパシフィックS.E.Asia)
香港
行き詰る香港の著作権改正案
パロディ問題と著作権法改正について前回取り上げたように、IPD(Intellectual Property Department)はパロディや、イベントについてのコメントや書き込み、引用(私的な切り抜き)という3つの主要な項目に対象範囲を拡大しようとしています。CASHは「コメントや書き込み」をどう定義づけるかを懸念していました。そのためCASHとMPA香港は、IPD及びDECとオキュパイ・セントラル(中環地区を占拠せよ)と呼ばれる政治運動を具体例にミーティングを開催しました。そのテーマソングは反政府グループが使用する”who hasn’t voiced out”というポピュラーな曲です。この活動は市民の反政府運動の引き金となりました。この曲を使って政治活動に参加する人々は新ルールに応じないでしょう。場合によっては、更なる法の逃げ道を生むことに繋がります。出版社はIPDにこの項目を取り除いて欲しいと望んでいます。この話し合いの際に、出版社は、近隣の東南アジア諸国が政治運動に影響を与えた事を例に挙げました。
インディーズプロダクションの主張と音楽出版社の今後
インディーズプロダクションのグループは許諾に十分な情報提供がなされていないことと、使用許可までに時間を要するのは不公正だと主張しています。その一方で、違法な大量のパロディ作品が出回っているため、音楽出版社は、今後は更なる対応をせざるを得ないでしょう。
香港のデジタルマーケット情報
Google PlayとGuveraは、今秋か来年初旬には香港と東南アジア諸国への進出をする予定です。従って、デジタルマーケットの勢いが増しています。MooveやKK Box、Solitanといった現地の音楽配信業者はサービスの充実や機能の拡充を始めました。中でもMooveは“lyricsnap”という新サービスの提供を開始しました。これは共有サイトの写真から歌詞を抽出するという機能です。しかしながら、歌詞は著作権の保護範囲のため、当然出版社はlyricsnap機能を認めていません。
台湾
台湾での著作権の改正法案について
IPD台湾は、新しい著作権の改正法案を提示しました。この改正法案の重要な点は、パロディ作品に対する法律の適用範囲と、著作物の家庭用デバイスからの再発信、そして社会貢献事業や政府の敷地内でのカラオケの許可についてです。
パロディ作品については、著作権使用料の支払い義務を免除されました。IPD香港が提示をしたそれよりも更に広い範囲となりました。それに加えて、使用料を免除する対象が、ラジオや個人用の音楽再生用のデジタルプレイヤーしか持っていないような小さな店舗に広がりました。
改正法案のメインとなる3つめは、地方のコミュニティセンターや政府の事務所での非営利的なカラオケを免除することです。これは音楽事業者を刺激しました。MUSTと音楽出版社は7月9日の公聴会で、意見を述べるために必要な法律コンサルタントを雇いました。基本的に、音楽事業者たちはパロディ作品とカラオケの使用料免除に否定的な考えです。地方の公共施設でのカラオケは、もっと明確に狭い範囲に限定される必要があると考えています。
中国
ネット配信業社との著作権問題について
著作権問題は、なお継続して話題の中心です。YouTubeを代表とするOSP(OnlineServiceProvider)の権利問題は山積みです。中国のTudouやSohuといった主要なOSP業者は、自分たちはコンテンツをシェアするというプラットフォームにすぎず、使用料を支払う必要はないと主張しています。
CCTV(ChinaCentralTV)は、CCTVのプロダクションが権利を有する、多くの作品を提供したとして、Tudouを相手取り訴訟を起こしました。一方で、MCSCはTencent QQ(巨大なSNS)との訴訟の第2審に突入しています。WEB上では今でも多くの作品が許諾なく配信されています。